木村文乃主演×深田晃司監督『LOVE LIFE』ベネチア映画祭コンペ出品決定
『淵に立つ』(2016)、『本気のしるし 《劇場版》』(2020)などの深田晃司監督が木村文乃を主演に迎えた映画『LOVE LIFE』(9月9日公開)が、現地時間8月31日から9月10日まで行われる第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが明らかになった。同作はミュージシャン・矢野顕子のアルバム「LOVE LIFE」に収録された同名楽曲をモチーフに、愛と人生に向き合う夫婦の物語を描く物語。受賞結果は9月10日に発表される予定で、現地には深田監督と木村も参加する。最高賞の金獅子賞受賞した場合、北野武監督の『HANA-BI』以来25年ぶりとなる。
【動画】木村文乃が手話も交え熱演!『LOVE LIFE』予告編
メ~テレ60周年記念作品として制作された本作は、矢野が1991年にニューヨーク移住後に発表した初のアルバムに収録された同名楽曲をモチーフに、深田監督が構想期間18年を費やして完成させた。木村演じる、愛する夫と息子と幸せな日々を送っていた主人公・妙子に突然降りかかる哀しい出来事、そこから明らかになる本当の気持ち、彼女が選ぶ人生が描かれる。妙子の夫・二郎に永山絢斗、失踪した元夫パクにろう者の俳優・手話表現モデルとしても活躍する砂田アトム、二郎の元恋人・山崎に山崎紘菜、二郎の両親に神野三鈴、田口トモロヲがふんする。本作は、フランスでの公開も決定。UDCast方式による視覚障害者用音声ガイド、聴覚障害者用日本語字幕にも対応している。
深田監督は、2020年に濱口竜介監督と共に、コロナ禍で経営危機に陥るミニシアターを支援するためのクラウドファンディング「ミニシアター・エイド基金」を立ち上げたことでも知られる。海外映画祭へは、これまで『歓待』(2010)がプチョン国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞、『ほとりの朔子』(2013)でナント三大大陸映画祭グランプリ&若い審査員賞を受賞、『淵に立つ』で第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門審査委員賞を受賞し、『本気のしるし 《劇場版》』がカンヌ国際映画祭「Official Selection 2020」に選出。ベネチア国際映画祭への出品はこれが初。コンペティション部門には金獅子賞(最優秀作品賞)、銀獅子賞(最優秀監督賞/審査員大賞)、審査員特別賞、最優秀男優賞&女優賞、マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)、最優秀脚本賞などがあり、2020年の第77回では、『スパイの妻<劇場版>』の黒沢清監督が銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞している。
深田監督は同映画祭のコンペ出品に「大変歴史ある映画祭に「『LOVE LIFE』を上映したい」と望んで頂けたことは、驚きとともに、俳優・スタッフの総合力をご評価頂けたことに他ならず、とても誇らしく思います。そして、リド島に矢野顕子さんの歌声が響く! 今から楽しみで仕方ありません」とコメント。主演の木村は「まだ実感がなく気後れしていますが、沢山の方に祝福される作品の一部になれたことはとても光栄に感じております。深田監督との出会い、そして深田組のみなさん、共演のみなさんとの撮影は私にとって転機になる大切な時間でした。この機会により沢山の方々に見て頂けたら幸せです」と出品の喜びを語ると共に、深田監督と初のタッグとなった撮影を振り返っている。
新たに公開された予告編では、主演・木村の手話を交えた演技も見られる。矢野の「LOVE LIFE」をBGMに、元夫パクと手話で会話する妙子、それを複雑な表情で見つめる二郎の姿や、二郎と元恋人の山崎が口づけを交わす姿などが収められている。(編集部・石井百合子)