韓国の航空パニック映画『非常宣言』ソン・ガンホ、イ・ビョンホンら会見
第74回カンヌ国際映画祭でワールドプレミア上映され、世界中から注目を浴びた韓国の航空パニック映画『非常宣言(原題の日本語訳)』の完成披露試写会が25日午後、ソウル市内の映画館で行われ、ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ナムギル、イム・シワン、キム・ソジン、パク・ヘジュン、ハン・ジェリム監督が会見を行った。
『非常宣言』は、ベテラン刑事のインホ(ソン・ガンホ)が飛行機テロの予告電話を受けることから始まる。いたずら電話だと思いつつも、捜査過程で容疑者がハワイ行きのフライトに乗ったことを突き止めて驚がくする。一方、飛行機恐怖症でありながら、娘の治療のために無理して同便に搭乗していたジェヒョク(イ・ビョンホン)は、自分の目の届くところに常にいるジンソク(イム・シワン)を怪訝に思っていた。
その矢先、1人の乗客が突然の不審死を遂げたことで機内はパニック状態に陥り、機長は優先的着陸要求を意味する「非常宣言」を管制塔に伝える。この知らせを聞いた国土部長官のスッキ(チョン・ドヨン)は対テロセンターを立ち上げ、飛行機の着陸空港を探すのだが……。
パニック状態の機内と対策に奔走する地上に分かれて物語は二元的に展開するが、ハン・ジェリム監督はイム・シワン演じるジンソクについて、2017年に起こったラスベガス銃乱射事件の犯人からインスピレーションを得たという。「犯人は平凡な男で大それたことをするとは夢にも思わなかったそうです。しかしながら、犯人は無差別殺人という凶行に走ったことで、このストーリーを思いつきました」と語った。
地上で事態打開のために孤軍奮闘する刑事インホを演じたソン・ガンホは出演を決めた理由を次のように語った。「シナリオを受け取ったときは、単なるパニック映画だと思っていました。しかしながら登場人物の心理描写の繊細さや、黙々と捜査に当たるインホなど、すごく緻密かつリアルに描かれていたことに魅力を感じました」とし、リアリティーとエンターテインメントを併せ持つと映画をアピールした。
これには国土部長官スッキを演じたチョン・ドヨンも同調。「スッキは立場上、男性を従えるような強い存在感を見せますが、このような事態を前にして、自分が一人の弱い人間であることに打ちのめされます」と誰もが弱い存在であることがリアリティーさを増していると語った。
イ・ビョンホンは役づくりに当たり、自身の過去の経験と重なったと語る。「わたし自身、20代の中頃は飛行機恐怖症で苦しんでいました。克服するためには独自の呼吸法や薬の服用などで症状を抑えたのですが、それを役づくりに生かすことができました」と明かし、発症した後もしばらく症状に苦しめられたという。
カンヌの上映から1年を経たが、CGやVFXだけでなく音楽を全面的に見直すなど、より完成度を高めた映画『非常宣言』は、8月3日に韓国で劇場公開される。(取材・文:土田真樹)