森達也、初の劇映画『福田村事件』制作開始 主演は井浦新&田中麗奈
『A』『A2』『311』『i-新聞記者ドキュメント-』などのドキュメンタリー作品を手掛けてきた森達也監督による初の劇映画『福田村事件』(仮題)が、2023年に公開されることが発表された。主演を井浦新と田中麗奈が務める。
森監督にとって初の劇映画となる本作の題材は、1923年9月1日に発生した関東大震災、その発災から5日後に千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件。行商団9人が地震後の混乱の中で殺されたが、彼らはなぜ殺されたのか、村人たちはなぜ彼らを殺したのか、関東大震災時に各地で起きた朝鮮人虐殺、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにするという。
本作は荒井晴彦が企画し、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井の3名が担当。主演を務めるのは、今年は『こちらあみ子』などに出演している井浦新と、森監督が本作への出演を熱望し、荒井晴彦が脚本を担当した映画『幼な子われらに生まれ』で各賞を受賞した田中麗奈。今年の8月20日にクランクインした。
『福田村事件』(仮題)概要
1923年春、澤田智一(井浦新)は教師をしていた日本統治下の京城(現ソウル)を離れ、妻の静子(田中麗奈)と共に故郷の福田村に帰ってくる。智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であった。しかし、妻の静子にも、その事実を隠していた。その同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発する。9月1日に関東地方を襲った大地震、多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥る。そして運命の9月6日、行商団の15名は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまう。