山田杏奈主演、森山未來×永瀬正敏『山女』東京国際映画祭コンペ出品決定
映画『樹海村』『彼女が好きなものは』『ミスミソウ』などの山田杏奈が主演を務め、森山未來と永瀬正敏が共演する映画『山女』が、10月24日から11月2日にかけて開催される、第35回東京国際映画祭コンペティション部門に出品されることが決定した。
本作は、18世紀後半の東北を舞台に、冷害による食糧難に苦しむ村で、人々から蔑まされながらも逞しく生きる少女・凛の物語。自然の脅威を前にした村社会の閉鎖性と集団性、また信仰の敬虔さと危うさをテーマに、自分の意志を貫く少女の生き様を通して、人間の善悪や信仰の敬虔さと危うさを描き出す。
山田が演じる主人公・凛は、苦しい生活の中でも、罪人を許す女神が住むと言い伝えられる早池峰山に祈りを捧げ、山で生きることを決意する強く健気な少女。「凛でいた期間は私自身も夢と現実のはざまにいたように思い出します」と振り返る山田は「現代とは違う時代背景、環境の中でも彼女が何と戦っているのか、彼女はどうしたら幸せになれるのかをずっと考えていました。東京国際映画祭のコンペ部門に出品されると聞き、とても光栄ですし嬉しいです。沢山の人に福永監督の描く世界が届くことを願っています」とコメントしている。
神聖な森に住み、村人達から恐れられている謎の存在・山男役を務めるのは森山未來。自然と共生し、凛との間に信頼関係を築く山男を圧倒的な存在感で演じる。そして、村で死体埋葬などの汚れ仕事をして生計を立てる凛の父親・伊兵衛役に永瀬正敏。先代が火事を起こした責任から土地を奪われ、村八分になりながらも逞しく娘たちと支えあい生きる父を演じている。
監督は、現代アイヌの姿を描く『アイヌモシリ』などを手掛けた福永壮志。「遠野物語」で紹介された民話にインスピレーションを得てオリジナル脚本を書き上げた。「『遠野物語』で書き記された数々の民話では、自然に宿る神々や化け物が絶対的な存在として描かれているのとは対照的に、人間は非力で浅はかです。その根底には自然に対する畏敬の念と、後世に向けた教戒が込められています」という福永監督は、東京国際映画祭への出品にあたり「『山女』は、それらの民話にインスパイアされて新しく紡ぎ上げた物語で、『自然と人間』や『集団と個』といった現代の日本社会においても身近なテーマを扱っています。厳しい環境の中を必死に生きる主人公・凛を通して、この映画を観た人の心に何かを残せることを願います」とコメントを寄せている。(編集部・入倉功一)