子役時代のアノ人も!「相棒」右京&薫時代の意外な出演者たち
放送開始から22年目の人気刑事ドラマ「相棒」には、多数のゲスト出演者が登場してきた。中には、現在のイメージとは違う人や、当時はまだ子役だった人もいる。ここでは、「相棒season21」で復帰した亀山薫(寺脇康文)が杉下右京(水谷豊)の初代相棒だった時代(pre season~season7)を中心に、意外な出演者や驚きのキャスティングを紹介する。(以下、ドラマのネタバレを一部含みます)
【画像】「相棒season21」初回、右京&薫が劇的な再会…
■当時は子役だった人気俳優
小学校教師がボウガンで胸を刺されて死亡したseason1第5話「目撃者」で、カギとなる目撃者として登場した小学生は、大河ドラマ「麒麟がくる」(2020)の織田信長役などで高い評価を得ている人気俳優の染谷将太。当時まだ10歳だったが、巧妙なトリックを考案し、特命係の追及をふてぶてしくかわす姿は強く印象に残る。
season2第9話「少年と金貨」で、犯罪者の父親に置き去りにされて薫と美和子(鈴木砂羽)に預けられる息子を演じたのは、近年は舞台にも積極的に出演中の須賀健太だ。10歳にも満たなかった彼の健気さは、父の行動の哀しさを色濃くし、さらに薫たちとの疑似家族ぶりをより微笑ましいものにしていた。
■いまをときめくアノ人も!
season4第4話「密やかな連続殺人」と第5話「悪魔の囁き」の前後編、season5第5話「悪魔への復讐殺人」には、人気俳優の高橋一生が出演。すべて安西直太郎という同一人物だが、大学院生の精神科医助手として関わった連続殺人犯(小日向文世)に感化されて罪を犯し、精神鑑定で不起訴となるも、強制入院中に殺されてしまうという、さまざまな表情を魅せる役だった。にこやかな好青年の笑顔からサイコパスな佇まいまで、今に通じる独特の存在感は圧巻だ。
season4第7話「波紋」には、まだ「中村友也」名義だったデビュー間もない中村倫也が出演。自宅の郵便受けに投函された600万円を正直に警察に届けたとして有名になる大学生を演じた。当時まだ未成年で、どこかあどけなさが残るいで立ちながら、殺人事件への困惑と葛藤を交えた機微を好演している。
season4第13話「最後の着信」の冒頭で、転落死体というショッキングな姿で登場するのは桐谷健太。関西弁を操るノリのいい男で、実は麻薬の売人だったがさらに裏もあるというインパクトのある設定で、愚かなほど思い込みの激しい男を熱く演じた。
ドラマ「孤独のグルメ」でのひたすら食べる役をはじめ、いい人でも悪人でも自在に演じわける松重豊は、season4第17話「告発の行方」に登場。芸能雑誌「キリン芸能」の編集長役で、自らの保身と利益のために態度をコロコロと変える情けない人物を体現し、視聴者の憤りを一身に集めるさすがの芝居を見せている。
また、軽妙な演技で人気のムロツヨシも、特命係に聞き込みをされる男として登場している。ひょうひょうとした風情は、警察の隠ぺいや不正を痛切に描いた名作として名高いseason7第7話「最後の砦」の皮肉な味わいをより深めた。なお、この回のメインゲストではないので、彼の名前はエンディングテロップでしか確認できない。
■キャスティングの妙
当時のパブリックイメージとは違う、振り切った役を演じたことで筆頭にあがるのは、佐藤江梨子だ。season4第8話「監禁」で薫を誘拐・監禁する女性役だったが、注射器を突きつけたり、ハンマーを振り回したりとやりたい放題。金のためならあっけらかんと殺人も行う彼女は、「相棒」の歴史に残るサイコパスといえる。なお、佐藤はseason8第5話「さらば愛しき人よ」に冠城亘(反町隆史)のはかなげな元恋人役でも出演、その振り幅は大きな話題になった。
season2第1話「ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠」と第2話「特命係復活」に登場するミステリアスな女性を演じたのは、当時まっすぐな役が多かった須藤理沙。特命係を振り回し、窮地に追いやる計算高さと狡猾さを好演した。
また、現在は毒舌キャラや動物愛護活動で著名な坂上忍は、season2第10話「殺意あり」に登場。苦悩しながらも同僚医師の医療ミスを告発するシリアスな一面を見せている。
そして、season21第1話「ペルソナ・ノン・グラータ~殺人招待状」とその後編の第2話にも顔を見せている衆議院議員・片山雛子役の木村佳乃。初登場は、season3第1話「双頭の悪魔」から第3話「双頭の悪魔III完結編~悪徳の連鎖」の連続した3話だ。木村は当時20代ではじめての政治家役だったというが、雛子が右京をも翻弄するしたたかでしなやかな女性として物語の要所で登場するキャラクターに成長したのは、木村の存在感と芝居力ゆえだろう。
もともと「相棒」は、小劇場の俳優たちを起用するなど、テレビドラマのキャスティングとしては一癖あることを多く行っていた。今ではお馴染みの捜査一課の伊丹憲一役の川原和久や、芹沢慶二役の山中崇史も、もとは舞台を中心に活躍していた俳優たちだ。これからも「え、この人が!?」と驚くキャスティングで、刺激的な物語を見せてくれるに違いない。(文・構成:早川あゆみ)