馬場良馬&高崎翔太、死刑制度の是非問う野心作の裏側明かす
俳優の馬場良馬と高崎翔太が5日、池袋シネマ・ロサで行われた映画『死刑』(公開中)の公開記念舞台あいさつに登壇し、タイトなスケジュールにもかかわらず滞りなく進んだ撮影を振り返った。
本作は、『第九条』(2016)、『国民の選択』(2021)などの社会派作品を手掛けてきた宮本正樹監督が、死刑制度を題材にしたドラマ。20××年の架空の日本を舞台に、死刑の是非をめぐる政府主導のグループディスカッションに無作為に選ばれた30代の人々が、死刑に対する自身の考えをぶつけ合うさまを追う。壇上には馬場、高崎のほか、あいだあい、Kat、宮本監督も登壇した。
劇中、医師・山田役を演じた馬場は、数日間の短期間で撮影されたという本作を振り返り、「宮本監督とは2回目ですけど、(監督の作品に出る時は)マジでテスト勉強。夜なべして(セリフを)覚えますから」とセリフの多さや、社会派作品であるが故に知識を補うといった作業に苦心した様子。
だが、前回出演した宮本監督の『第九条』での経験が生きたようで、「セリフがたくさんあったりするなか、タイトなスケジュールでも滞りなくできたのは、宮本監督と初めましてでなく、『第九条』からの繋がりがあったことが強みになった」という。
一方、産業廃棄物処理場勤務の鈴木を演じる高崎は、そんな馬場に刺激を受けたようで「馬場さんが(役柄の山田を)医師家庭のボンボンという感じでやっていて、(こちらも役になりきって)ムカつきました。(おかげで)素直に役に入れました」と回顧。さらに、馬場は高崎との共演がスムーズにいった要因として、「この撮影に入る直前の作品がたまたま同じ現場だったのも大きい」とも。二人は2021年上演の黒木瞳企画・演出の舞台「甘くない話~ノン・ドサージュ~」」で共演しており、高崎も「NGもなく、集中して短い時間で撮れた感じがあります」と振り返っていた。
馬場は、死刑制度というテーマについて「今の日本の政治を考える最初の取り掛かりとしても、死刑という題材は興味深いと思います。自分の大切な人が殺されてしまったら? 加害者になったら? そういうことを想像することで、自分が明日から生きていく感覚が少しでも変わったりするのかなって思うんです」と考えを巡らせ、「この作品を通してみなさんの何かが変わって、この映画がいろんな人の価値観に影響を与える作品になればいいなと思います」と願いを込めていた。(取材・文:名鹿祥史)