レオナルド・ディカプリオ『タイタニック』ジャック役を逃す寸前だった
空前ヒットとなった1997年公開の映画『タイタニック』で主演を務めたレオナルド・ディカプリオが、もう少しで主人公のジャック役を逃すところだったと、ジェームズ・キャメロン監督が、米版GQのビデオインタビューで語った。
1912年に起きた豪華客船タイタニック号沈没事故の史実をベースに、身分の違う男女のはかなくも美しい愛を描いた本作。ディカプリオは、ケイト・ウィンスレット演じる上流階級の女性ローズと恋に落ちる画家志望の青年・ジャックを演じた。
当時、すでにキャメロン監督を含む関係者を魅了していたというディカプリオ。そこでキャメロン監督が、先にキャスティングされていたケイトとの相性を見るためにスクリーンテストをしようとしたところ、行き違いがあったという。「数日後に彼が来てくれたんだが、スクリーンテストがあることを知らなかったんだ。ケイトとの別のミーティングだと思ったんだね」
「私が、よし、隣の部屋でセリフを読んでくれ、ビデオで撮影をするからと言ったら、レオは『つまり……セリフを読めってことですか?』と返答してきた。そうだと伝えると『いや、読めませんよ』と言うので、そうかわかった。来てくれてありがとう、とだけ言って握手したんだ」
そこで「ちょっと、ちょっと待って。もしセリフを読まなかったら、役がもらえないってこと? そういうことなんですか?」と聞くディカプリオに、この映画がいかに間違った選択のできない大作なのかを説き、「セリフを読むか、役がもらえないかだ」と伝えたというキャメロン監督。ディカプリオは不満げだったというが、いざテストが始まると全てが一変したという。
「そのことがあって、彼の存在全てがネガティブになってしまったようだった。私が“アクション”と声をかけるまではね。それから彼は、ジャックになったんだ。ケイトが輝き、彼らはその世界に入り込んでシーンを演じた。暗雲から光が差し込み、ジャックを照らしたんだ。そこで私は、彼こそ求めていた男だと思ったのさ」
『タイタニック』は、現在も全世界興行収入で第3位に位置する大ヒット映画となり、第70回アカデミー賞において作品賞と監督賞をはじめ11部門で受賞。3時間14分もの壮大なドラマを描くうえで、キャメロン監督が見出した、ディカプリオとケイトのケミストリーは不可欠だっただろう。
キャメロン監督は12月16日に、全世界興行収入1位に輝く大ヒットアドベンチャーの続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の公開を控えている。(西村重人)