【ネタバレ】「相棒」右京、犯人に激高 どこか懐かしさのある展開も
11月30日に放送されたドラマ「相棒season21」（テレビ朝日系）の第7話は「砂の記憶」。特命係宛てに届いた告発文によって捜査を開始した杉下右京（水谷豊）と亀山薫（寺脇康文）が、20年前の連続通り魔事件の犯人を見つけ出す物語で、久々にさく裂した右京の犯人への激高が話題となっている。（以下、ネタバレを含みます）
告発文には、「連続通り魔事件の犯人が動き出す」とあった。20年前、7件連続で起きた若い女性を狙った強盗事件があり、15歳の少女・沙織が亡くなっていたのだ。時効が近いが未解決で、当時捜査に当たっていた捜査一課の伊丹（川原和久）も悔しげな様子。被害者の身近な人が告発文を書いたのではないかとふんだ右京と薫は、沙織の母・瑞恵（根岸季衣）を訪ねるが、そっとしておいてほしいと追い返されてしまう。
2通目の告発文に指定された日時と場所で、右京と薫は女性を襲う広報課広聴係の小沼裕一（鳥谷宏之）と、それを止めようとする瑞恵に出くわした。女性は、右京らに健康診断の大切さを説いていた健康管理本部の保健師・吉崎弘美（桜木梨奈）。彼女は、沙織が亡くなった際に一緒にいた友人だったのだ。当時現場で小沼の顔を見た吉崎だったが、記憶だけでは証拠にならないと自らが囮（おとり）になっていた。瑞恵はそれを察知し、助けに来たのだった。
案の定しらばっくれる小沼に、右京は決定的な証拠をつきつける。小沼が戦利品として持っていた砂時計が、沙織のものだと証明したのだ。吉崎とおそろいだったその砂時計には、犯行当時に現場にしかなかったフットサル場に敷かれた砂粒がついていた。
右京は小沼に言う。「あのとき現場にあった砂とまったく同じものが、たまたまどっかについたなどという言い訳が通ると思いますか！」。声は徐々に大きくなり、後半は全身から絞り出すような激高となっていた。
相手があまりにも自らの罪を自覚してなかったり、言い逃れなど潔くない態度をとった際などに、右京は激高する。初期から何度も見受けられるが、今回と同じく警察官の犯罪を「恥を知りなさい！」と糾弾したseason4第21話「桜田門内の変」などは、その代表的なものだろう。season6第12話「狙われた女」でも、罪を犯した警察官に激高していた。ときに薫が苦しむほど辛辣（しんらつ）に正義を求める右京が、警察官など正義の側にいる人間による犯罪を、より糾弾するのは自明の理だ。
常の右京が紳士的だからこそ、そのギャップは新鮮だが、右京からしたらその機会は少なければ少ないほどいいに決まっている。SNSでファンが「激高キタ～～！」と沸くのは、右京にはとっては不本意なことに違いない。
小沼は逮捕された。彼の罪を暴いた砂時計は死を連想させるものだが、ひっくり返せば何度でもやり直せる希望の象徴になると、右京と薫は吉崎を励ました。保健師の仕事を続けられることになった吉崎は、薫に健康管理上のアドバイスをすると張り切っている……。
被害者遺族が前を向ける心地いい終わり方。薫と伊丹の「出戻り亀」「かみつき亀」「バ亀」というどつきあいや、「君は体力で頑張りたまえ」と愛ある憎まれ口を薫にたたく妻・美和子（鈴木砂羽）など、薫の持つコミカルな味わいが、いいスパイスになっている。「懐かしい雰囲気」「初期のころに戻ったみたい」という声もSNSで上がっていた。
次回は「コイノイタミ」。人気キャラクター伊丹の恋は、初期の薫時代に多く描かれているが、いずれも破局にすら至らない恋愛未満がほとんどだった。次回の結果やいかに。楽しみに待とう。（文・早川あゆみ）