『月の満ち欠け』目黒蓮起用の理由は?メイキング写真公開
2017年に第157回直木賞を受賞した佐藤正午のベストセラー小説を大泉洋主演で映画化する『月の満ち欠け』(公開中)。本作で許されぬ恋に落ちる青年を演じる目黒蓮(Snow Man)のキャスティングの経緯をプロデューサーが明かし、メイキング写真も公開された。
本作は、累計発行部数56万部を超えるベストセラー小説を映画化。『母性』『あちらにいる鬼』そして本作と3本の映画が同時公開中の廣木隆一監督がメガホンをとった。愛する妻子を亡くした小山内(大泉)と、27年前に許されざる恋をした三角(目黒)という無関係に思われた二人の人生が、“瑠璃”という名の女性の存在で交錯していくストーリー。目黒演じる三角哲彦は、大学時代に既婚者の正木瑠璃(有村架純)と恋に落ちた青年で、小山内の妻・梢(柴咲コウ)の死後、突然小山内のもとを訪れる……という設定。
現在放送中のフジテレビ系ドラマ「silent」では若くして聴力を失う青年に、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」では主人公と同じ航空学校に通うエリート役で登場し、日々SNSを賑わせている目黒。公開されたメイキング写真は、目黒が廣木監督とディスカッションする様子や、8mmカメラで正木瑠璃を撮影するシーンの撮影風景など。
実は、本作のキャスティングでプロデューサー陣が最も頭を悩ませていたのが三角役。イメージに合うキャストが見つからないなか、偶然別作品の撮影中の目黒に目が止まったと言い、プロデューサーは起用の経緯を「カメラが回っていない時のオフの状態で、何気なく佇んでいた彼を見た時、三角がいた! と思いました。朴訥な雰囲気の中にすごく強い意志と熱いハートを秘めている目黒さんは、まさに三角でした」と明かす。
また廣木監督も「蓮君は現場では哲彦と瑠璃のシーンは、2人の関係が近くなっていく様をごく自然な芝居で表現し自分のキャラクターを守るように、他の人と口を利かずにすごく役に没頭していた。その佇まいが良い役者。彼女を失って一人涙を見せるシーンも素直に役に溶け込んでいて、印象的なカットになった」と目黒の芝居を評価。
最も目黒と共演シーンが多かった有村は「お芝居経験がそんなにないとご本人はおっしゃっていましたが、全然そんな風には見えず、堂々と落ち着いていらっしゃいました。すごく“気持ち”を大事にされていて、一言一言を大切にセリフを言われる方だなと思えたので、瑠璃として気持ちを動かしながらやり取りができたと思います」と目黒の姿勢を称え、1日のみの共演だった大泉も「哲彦とのシーンは僕も小山内として引き出されるものがあった」と振り返っている。
目黒自身は三角を演じるにあたり「役を作る時は大事な人たちを想像して、その人たちを一度心の中で消すというか……。実際に自分の身の周りからいなくなってしまったら? と細かい部分まで想像していました。そしたらすごく苦しくなったし、心が疲れました」とアプローチに触れ、「大事な人って簡単に一瞬でいなくなっちゃうことがあり、それで世界が変わっちゃうんだなと思いました。僕の年齢ではなかなか経験できないようなことを、哲彦を通じて経験できた気がします。目黒蓮としてでなく、哲彦としてしっかり見ていただけたら嬉しいです」と本作で得た学びを語っている。(編集部・石井百合子)