声優・佐々木望『銀河英雄伝説』富山敬さんとの時間は「大切な思い出」
声優の佐々木望が13日、新宿ピカデリーで行われたアニメーション映画『銀河英雄伝説 新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア)』4Kリマスター版の公開初日舞台あいさつに登壇し、作品を共にした故・富山敬さんとの思い出を語った。
数千年後の未来、いつ終わるともしれない戦いを繰り返す人類の間に現れた2人の英雄を中心に、銀河の歴史を描く「銀河英雄伝説」。佐々木は、自由惑星同盟側の主人公ヤン・ウェンリーの被保護者にして後継者と呼ばれる、ユリアン・ミンツの声を担当した。富山さん演じるヤンとのシーンが多かった佐々木は「富山さんとの時間は大切な思い出で、記憶のなかにそっと残しています」と特別な存在だったことを明かす。
初めて富山さんに会ったのは、1986年から放送がスタートした「Oh!ファミリー」というアニメ作品だったという佐々木は「デビューしたての新人で、毎回出番があった役ではなかったのですが、放送が終わって打ち上げで旅行に行ったんです。みんな大部屋で寝た朝、なぜか富山さんと僕の二人だけになる時間があって、そこで話をしたとき、偉大な先輩と二人で温泉旅館の部屋にいることがすごく嬉しかった」と当時を振り返る。
富山さんが気さくに話しかけてくれたことが強く印象に残っているという佐々木は、その後、「銀河英雄伝説」でヤンとユリアンという師弟関係として収録に参加できたことに、さらに大きな幸せを感じたという。
「富山さんはすごく静かな方で、スタジオでも黙って座って台本を読んでいて無駄話をしないんです。そんな姿にとても影響を受けました。その姿は絶対に忘れません」という佐々木。「富山さんはもちろん、羽佐間道夫さん、古川登志夫さん、井上和彦さんなど、同盟軍のみんなとのシーンが多く、先輩方の演技を目の当たりにして大きな刺激を受けました」とレジェンド声優たちとの思い出を語った。
本作は、累計発行部数1,500万部を突破する田中芳樹の原作小説「銀河英雄伝説」刊行40周年を記念し、シリーズ屈指の傑作と呼び名の高い1993年公開の『新たなる戦いの序曲』を、35ミリの原版フィルムからスキャニングした4Kリマスター版として劇場公開。「当時生まれた人が、30歳になるぐらいの年月なんですよね」としみじみ語った佐々木は「それだけ長く愛される作品に自分が関わらせていただいたということが本当に幸せなことです。これからも富山さんのヤン、佐々木のユリアンも忘れないでいただければ」と客席に呼びかけていた。(磯部正和)
『銀河英雄伝説外伝 新たなる戦いの序曲(オーヴァチュア) 4K リマスター』は1月13日から2週間限定公開