高杉真宙「なんのために俳優をやっているのか」俳優としてのモチベーション変化
2021年7月に公開され興行収入45億円を記録し、その年の劇場用実写ナンバー1を記録した映画『東京リベンジャーズ』。そこから2年後、続編として『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編』が前後編の2部作で公開される。本作で、東京卍會の結成メンバーの壱番隊隊長・場地圭介(永山絢斗)を心酔する壱番隊副隊長・松野千冬を演じたのが俳優・高杉真宙だ。前作を観て「羨ましいな」と思っていたという高杉。念願叶って若手実力派俳優たちがひしめく本作の撮影現場を経験した高杉はどんなことを感じ、血肉として吸収していったのだろうか。
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血だらけになるとテンションが上がる!
第1作のキャストが発表された際、和久井健の原作コミックを読んでいたという高杉は、これまで共演したことのある同世代の俳優たちが数多く出演していることに「羨ましいな」と思っていたという。
そんななか、原作でも人気の高い「血のハロウィン編」が続編として描かれることになり、高杉に松野千冬役のオファーが舞い込んだ。千冬は、東京卍會の結成メンバーである場地圭介を心から尊敬する後輩キャラであり、場地のためなら命も張れるという熱い男だ。
高杉は「声を掛けていただき、本当に嬉しかった」と念願だった作品への出演を喜ぶ一方で、原作ファンの間でも人気の千冬を演じることに「かなり緊張感はあった」と率直な気持ちを吐露する。しかし一方で「台本を読んでいても、あまり自分に千冬感があるとは思えなかった。だからこそ、千冬役に僕を選んでもらえたことが嬉しかった。自分なりの千冬というものをしっかり見つけて、その期待に応えなければ」と気合が入ったという。
劇中の千冬は、素直な性格だが喧嘩っ早く、顔中ぼこぼこでアザだらけ。ある意味で新鮮味があり、高杉自身も「結構血だらけになったりするとテンションが上がるんですよ」と笑うと「どんどん汚してほしいし、何なら『もっと血まみれでもいいっすよ』って思いでした」と撮影を振り返る。
同世代の俳優に「負けないように」と思っていた気持ちが「いまはまったくない」
劇中では、場地役の永山、タケミチ役の北村匠海との共演シーンが多い。高杉は「『血のハロウィン編』は、とても喧嘩のシーンが多いのですが、タケミチと場地さんとのシーンは殴り合いではないところも多いんですよね。千冬は場地さんに対して、絶対的な信頼と尊敬がある。永山さんが場地さんをめちゃくちゃ格好良く演じてくれたことで、自然と『場地さんってカッケーだろ』って思えるような説得力を与えてくれました。普段の会話のなかでも、永山さんは『ついていきたいな』と思わせてくれるような方でした」と永山の役づくりに感嘆する。
一方、これまで映画『十二人の死にたい子どもたち』などでも共演のあるタケミチ役の北村に対しても「連日血まみれのシーンが多いなか、タケミチとのシーンは、憩いの場というか、ホッとできるシーンが多かったんです」と振り返ると「二人の居心地の良さみたいなものを身に染みて感じながらお芝居をしていました」と語る。
本作では、世代の近い人気俳優たちが、意気揚々と活躍する。そこにはライバル意識みたいなものがあるのだろうか。高杉は「先輩の方々とやるのも、同性代とやるのも、年下の世代とやるのも気持ちに差異はないです」と語ると「昔は『負けないように』という意識はあったのですが、いまは自分自身が演じる役として、どうやったら作品に貢献できるのかという気持ちの方が強いです」と変化を述べる。
変わったきっかけについては「なにか特別なできごとや出会いによって変化したわけではないんです」と語ると「なんのために俳優をやっているかと考えたとき、それは作品がいいものになればという思いだけなんですよね」と俳優としてのモチベーションを明かしてくれた。
過去何度も作品を共にした英勉監督への絶大なる信頼
本作のメガホンを取ったのは、英勉監督。高杉とは、映画『トリガール!』『賭ケグルイ』シリーズ、『前田建設ファンタジー営業部』などで作品を共にしている。
「僕は英監督のこと大好きなんです。信頼している監督で、天才だと思います」と絶賛し、「監督と一緒に作品を作ることの楽しさを僕は知っているので、ついていきたいと思える方ですし、まっすぐ演技ができるんです」と絶大なる信頼を寄せていることを明かす。
一方で、「だからこそ、毎回ご一緒するときは、本当に緊張します。英監督に限らず、過去にご一緒した方からお声を掛けていただけると、求められていることもきっと大きくなっているだろうから、自分がどれだけその期待に応えられるか、とても不安になるんです。でも英監督は、いつもちゃんと引っ張り上げてくれる。とても優しい方ですし、ありがたいです」と感謝を述べる。
そんな英監督が陣頭指揮をとる『東京リベンジャーズ2』。高杉は「皆さんとてもお忙しい方たちばかりで、スケジュールもとにかくタイトだったと思うんです。そのなか、本当に魂を込めて“いい作品を作ろう”とひたむきに取り組むスタッフさんやキャストの方々を見て、作品ができあがることのすごさというのを強く感じました。特に最終決戦となる廃車場なんて、何もなかった場所にあれだけのセットを作り上げて撮影が行われたんです。美術スタッフさんをはじめ、とにかく皆さんの熱がすごかった。モノづくりの尊さを改めて実感できた現場でした」としみじみ語っていた。(取材・文・撮影:磯部正和)
映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』は4月21日公開
映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』は6月30日公開