北野武監督、最新作『首』に自信!NHKには描けない戦国時代を活写
北野武監督が15日、都内で行われた映画『首』完成報告会見に出席し、本作を制作するに至った経緯や自信を明かした。この日は、出演の西島秀俊、加瀬亮、中村獅童、浅野忠信、大森南朋、KADOKAWA代表取締役社長・夏野剛も出席した。
日本人なら誰もが知る戦国武将、羽柴秀吉、明智光秀、織田信長、徳川家康らと“本能寺の変”を、北野監督が一大スケールで描く本作。信長の跡目を巡り、繰り広げられる裏切りと策略と戦。それぞれの野望が本能寺に向かって動き出す。
構想30年、製作費15億円をかけ、『座頭市』以来20年ぶりの時代劇を手掛けた北野監督。NHKの大河ドラマをよく観るそうで、「すごいきれいな出世物語にして、人間の業とか、欲とか、裏切りとかはあまり描かれていない」とその印象を明かすと、「自分が撮ればこうなるという発想でやろうと思いました」と制作に至った思いを打ち明ける。
さらに「男同士が絡み合うのは、NHK的には避けることがあるけど、殿様に対して命を懸けるのはそういう関係でもある。そこを描かずに戦国時代を語るのはおかしい」と見解を述べると、「そういう話や、侍や戦国大名は一般の人が死んでも関係ない(と思っている)悪い奴らなんだから、その残酷さや、死を前にした男同士の関係を上手く描きたかった」と説明した。
配役は脚本を書きながら考えたそうで、過去に北野組に参加経験のある西島(明智光秀役)、加瀬(織田信長役)、浅野(黒田官兵衛役)、大森(羽柴秀長役)には絶大な信頼を寄せている様子で、「北野組は役者さんに断られることなく、声をかけるとスケジュールを調整してくれて、大したギャラは出ないのに頑張ってくれる」と感謝。初参加の中村(難波茂助役)に対しては、映画『ピンポン』で眉と髪を剃って役に挑んでいるのを見たときに「芝居が好きな人だな。いずれ使うことになるだろうと思っていた」と話した。
「今度の映画ができたのは、スタッフ並びに役者さんのおかげだと思っています。ありがとうございました」と頭を下げた北野監督は、「(試写を観た)スタッフや関係者の大多数が本当に褒めているとわかるので、成功したと思っています」と自信をのぞかせる。すでに、カンヌ国際映画祭のコンペ枠では賄いきれない良作のプレゼンテーションを目的に設立されたセクション「カンヌ・プレミア」にて上映されることも決定していることから、「世界的に当たるな」と予想する北野監督は、「大ヒットという図々しいことは言いませんが、ヒットしていただいて、あと何本か(映画を)撮れる状態になればいいなと思います」と期待を込めた。(錦怜那)
映画『首』は2023年秋、全国公開