実写版『リトル・マーメイド』アースラ女優はミュージカル初挑戦!名曲「哀れな人々」収録秘話
ディズニー実写版『リトル・マーメイド』(6月9日全国公開)のメガホンを取ったロブ・マーシャル監督が、悪役アースラを演じたメリッサ・マッカーシーとのタッグを振り返ると共に、名曲「哀れな人々」の収録秘話を語った。
ディズニーヴィランズの中でも高い人気を誇るアースラは、ずる賢く執念深い海の魔女。トリトン王の妹である彼女は、自分を追放した兄への復讐の機会を狙っている。実写版では、『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(2011)と『ある女流作家の罪と罰』(2018)で二度アカデミー賞にノミネート経験があるメリッサがアースラ役で起用された。
アースラの多面的な部分が素晴らしいと語るマーシャル監督は、「アースラを深掘りして行ってわかったのは、このキャラクターはファニーだが、気まぐれで怒りっぽく執念深いだけでなく、心に傷を抱えているということです」と説明する。
「彼女が何者で、なぜヴィランであるのかを、観客は理解できます。そんなキャラの奥深さを、メリッサはすべて演じ切ってくれました。それが画面から感じ取れるので、観客はこのキャラの感情にも共感することができるのです。どんな映画であれ、どんな物語であれ、それに登場するヴィランが何者であり、いかにしてそうなったのかがわかることは大切です。本作では、それにうまく成功することができました。このキャラに多面性を与えることができたのです」
アースラが人間世界にあこがれる主人公・アリエルと契約を交わす際に披露する楽曲「哀れな人々」は、「パート・オブ・ユア・ワールド」「アンダー・ザ・シー」などと並ぶディズニーの名曲だ。コメディー作品を得意とするメリッサは、意外にもミュージカルは初挑戦。映画での歌唱も『リトル・マーメイド』が初めての経験になった。
マーシャル監督は、ミュージカル未経験のメリッサの“声”を絶賛。「何よりも俳優として、正しい方向からアプローチしてくれることが特にいい。曲に彩りを与えてくれました。ファニーであると同時に、その他の彩りも豊かで、絵具箱の中の全ての色を使ってという感じでこの曲を唄ってくれました」と収録時を回顧し、彼女の歌唱パートを高く評価する。
メリッサは生オーケストラを前にして歌唱した時、最後に気を失ってしまうのではと思うほど熱情をこめて歌っていたという。「ミュージカルというのは繊細な部分があって、歌が『はめこんだ』ものに思えてはダメで、その場で歌われることの説得力を得なければなりません。ミュージカルをやっていて、自分の歌が、これだ! これはしっくり来る! と思えた時の経験は何物にも代え難いもので、この曲でメリッサはたしかにそれを経験しました」とマーシャル監督は振り返った。(編集部・倉本拓弥)