『怪物』是枝監督、北野武とカンヌ映画祭でツーショット「学生時代に戻ったような立ち方」
第76回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した映画『怪物』の初日舞台あいさつが2日、TOHOシネマズ六本木ヒルズにて開催され、安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、角田晃広、中村獅童、脚本の坂元裕二、是枝裕和監督が登壇。今回のカンヌ映画祭にほぼフル日程で参加したという是枝監督は、映画『首』で同映画祭に参加していた北野武監督とのエピソードを明かし、感動を振り返った。
本作は、小さな湖のある郊外の町を舞台に、どこにでもあるような子供同士の喧嘩が、互いの主張の食い違いから、メディアまで巻き込む大騒動になっていくことで浮き彫りになる人間模様を描いた、坂元裕二の脚本によるオリジナルストーリー。音楽は故・坂本龍一さんが担当した。
過去カンヌ映画祭には9度参加し、コンペティション部門に7作品がノミネートされている是枝監督。カンヌの常連ともいえるが「今年は『怪物』がオープニング上映されたこともあり、15日間、丸々滞在しました。こんなに長く行ったのは初めてでした」と特別な滞在になったことを明かすと「2日、3日、4日と日にちが経つにつれ、映画が口コミで広がって、街中で声をかけてもらえる数が増えてきました。映画が届いているなと実感しました」と感想を述べていた。
長く滞在したことで、是枝監督は「会いたい人には基本的に会えました。最高の滞在でした」と振り返ると「ヴィム・ヴェンダース監督やケン・ローチ監督にもあいさつできました。なかでも感動したのが、(『首』で映画祭に参加していた)北野武さんとツーショット写真を撮っていただいたことですね。映画を観て、ごあいさつして、撮っていただいたんです。そこで写っている自分が、学生時代に戻ったような立ち方になっているんですよね」と笑顔で語っていた。
安藤は、是枝監督の『万引き家族』でもカンヌを経験しているが「前回はパッと行って自分たちの上映だけ参加して帰国してしまったのですが、今回は映画祭全体の雰囲気を感じることができました」と明かすと「授賞式に参加したとき、本当に素晴らしい瞬間に立ち会うことができたんだなと実感しました。大興奮でした」と目を丸くしながら語る。
海外で大きな反響を得た作品が、いよいよ日本で公開される。是枝監督は「コロナ前から長い時間かけてスタートした企画。本当に素晴らしいキャストとスタッフに恵まれ、自分でも納得できる面白い映画ができたと思います」と胸を張ると、あいにくの豪雨となった初日に「映画館にたどり着くのも大変だったと思いますが、たくさんの方に来ていただいて幸せです」と満員の客席に向かって感謝を述べていた。(磯部正和)