塚本晋也『野火』9年目、戦後78年のアンコール上映決定 終戦記念日中心に全国で
塚本晋也監督の映画『野火』(2015)が、公開から9年目となる戦後78年を迎えた今年も、終戦記念日を中心に、渋谷・ユーロスペースをはじめ全国30館の劇場(7月20日現在)でアンコール上映されることが決定し、塚本監督がコメントを寄せた。
『野火』は、作家・大岡昇平による同名小説の映画化作品。極度の飢餓状態のなか、第2次世界大戦末期のフィリピン・レイテ島をさまよう日本兵・田村(塚本晋也)が目の当たりにする、むごたらしい戦争の現実を映し出す。塚本監督が監督・主演・製作・撮影・編集を手掛けた渾身の一作で、共演にはリリー・フランキー、中村達也、森優作らバラエティー豊かな俳優陣がそろった。
戦後70年にあたる2015年の夏に劇場公開され、「『野火』を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場で、毎年アンコール上映を重ねてきた。初年度からの劇場・自主上映含む総観客動員数はおよそ9万8,300人にのぼるという。
各劇場のアンコール上映予定、イベント予定等実施の詳細は劇場オフィシャルサイト、『野火』オフィシャルサイト・SNSにて随時発表される。また今年は、書籍「塚本晋也×野火」(游学社)に掲載されていた、第2次世界大戦に関する詳細な解説とシナリオを採録したオールカラー70ページの新装版パンフレットを上映劇場で販売する(一部劇場を除く)。
塚本監督は、趣里と森山未來をキャストに迎えた、『野火』『斬、』の流れを汲む新作『ほかげ』が11月25日から全国公開予定。(編集部・入倉功一)
塚本晋也監督コメント
9年目の『野火』になります。
戦後70年の夏から毎年上映を続けることができたのは、理解を示してくださった多くの劇場さんと、見てくださる皆さまのおかげです。
ウクライナの戦争が終わらず、世界の状況が底の抜けたように不安に満ち、何が正しいのかさえはっきり言えない世の中になってきたと言えます。
そんな時にこそ、大岡昇平さんからのメッセージ、『野火』に立ち返ってみて欲しいです。
戦争が始まれば、何が起こるのか。 人はどう変わってしまうのか。
その上で様々な議論が展開されることを望んでおります。
『野火』。 今こそさらに多くの皆さんに観ていただきたいと思います。
塚本晋也