ディズニー「ホーンテッドマンション」実写化への道のり 元パーク従業員のオタク監督が注いだアトラクション愛
ディズニーランドの人気アトラクションを実写化した映画『ホーンテッドマンション』(9月1日全国公開)は元パーク従業員のジャスティン・シミエン監督が手がけた作品だ。アトラクションに特別な想いを抱くシミエン監督や、プロデューサーのジョナサン・アイリヒ、プロダクションデザイナーのダーレン・ギルフォードが、アトラクションをベースにした実写化への道のりを語った。
【動画】アトラクションの要素満載!『ホーンテッド マンション』本予告編
「ホーンテッドマンション」は、999人の幽霊が住む不気味な洋館を“ドゥームバギー”と呼ばれる乗り物で進んでいくライド型アトラクション。1969年にカリフォルニアのディズニーランドで誕生し、日本の東京ディズニーランドをはじめ、世界中のパークで稼動している。2003年には、エディ・マーフィ主演で実写映画化もされた。
再実写化を任されたシミエン監督は、ホラー映画『バッド・ヘアー』(2020)を手がけたほか、コメディーや社会風刺パロディーも得意とする注目株。幼少期から「ホーンテッドマンション」が大好きで、学生時代はディズニーランドでアルバイトを経験し、休憩時間はアトラクションに乗ってばかりだったという。「このアトラクションをとても特別なものにするために必要な、あらゆる要素を彼は知り尽くしていると感じました。初っ端から彼はこの脚本のトーンを捉える最良の方法も、あのアトラクションに見合ったこの映画のビジュアル的景観の作り方も理解していたのです」(アイリヒ)。
「私の心はオタク少年です」と熱弁するシミエン監督は、「どうしてもあのアトラクションに忠実な描き方をしたかったのです」とアプローチ方法を語る。「あそこには数多くの素晴らしいストーリーテリングとインスピレーションがありますからね。『ホーンテッドマンション』のように人々から愛され続けている象徴的試金石を元にして映画を作るというのは、そのレガシーを基礎に作り上げることのできる機会を与えられたということです」
アトラクションを忠実に描くためには、伸びる部屋をはじめとする象徴的なトリックを捉えることが必要不可欠だった。その一方で、大々的で意図がはっきりした戦略を用いなければならなかったという。
「IPプロパティーを扱うにあたって、私の仕事の楽しい側面のひとつは、あのアトラクションに敬意を表しながら、いかにしてデリケートにそれらを映画の中に編み込むかを考えることでした。すぐに強調したいと思った要素もいくつかあった一方で、より二義的で微妙なものの中にも使いたい要素があり、それらをセットのデザインや建築時や装飾時に、バランスを保ちながら、とても注意深く編み込んでゆくのです」(ギルフォード)
アトラクションで使用されている物を含め、洋館のセットは膨大な数のプロップで埋め尽くされた。「観客が目にすることになるあらゆるものが、ストーリーを語ることに貢献すべきなので、『ホーンテッドマンション』のセットの隅々に多くの思考や几帳面さや心遣いが込められています。何よりも素晴らしいのは、その場に身を置くことに天才的な今回のキャスト陣は、自分の周囲にあるものをふんだんに活用してくれ、ダーレンが作り上げたこの世界にしっかりと包まれてくれたことです。マジックとしか言いようがありません」(シミエン監督)
映画には、4人の心霊エキスパートが登場。心霊写真家ベン(ラキース・スタンフィールド)、自称神父のケント(オーウェン・ウィルソン)、霊媒師ハリエット(ティファニー・ハディッシュ)、幽霊屋敷オタクの歴史学者ブルース(ダニー・デヴィート)と個性的なキャラクターが、屋敷に隠された真実に迫る。(編集部・倉本拓弥)