『エゴイスト』鈴木亮平に最優秀男優賞「第15回TAMA映画賞」受賞作品・受賞者決定
国内映画賞のトップバッターとなる「TAMA映画賞」第15回の受賞作品及び受賞者が決定し、最優秀男優賞に鈴木亮平と佐藤浩市、最優秀女優賞に菊地凛子と黒木華が選出された。最優秀作品賞には、是枝裕和監督の『怪物』と足立紳監督の『雑魚どもよ、大志を抱け!』が選ばれている。
鈴木は主演映画『エゴイスト』などの演技で最優秀男優賞に選出。受賞理由について、同映画祭は「愛とエゴの狭間で葛藤しながらも献身的に注ぐ愛は繊細で切なく、実在感あるものとして観る者の心に刻まれた」としている。
2009年にスタートしたTAMA映画賞は、毎年秋に開催され、第33回を迎える映画ファンの祭典「映画祭TAMA CINEMA FORUM」の一環として開催。前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考している。
第33回映画祭 TAMA CINEMA FORUM は、東京都多摩市内3会場で11月11日~11月26日(11月13日~17日、20日、24日は休映)の9日間で開催。受賞キャスト・スタッフも登壇する予定の「第15回TAMA映画賞」授賞式は、11月25日に東京都多摩市・パルテノン多摩大ホールで行われる。受賞結果と各賞受賞理由の要約は以下の通り。(編集部・入倉功一)
第15回TAMA映画賞・各賞受賞理由(要約版)
【最優秀作品賞】
『怪物』:声に出せない思いを抱えるこどもたちが解放された光溢れる世界を映すことで、「怪物」を生み出す実社会の生きづらさを描き出した。
『雑魚どもよ、大志を抱け!』:少年たちは、友の危機にそれぞれの覚悟で立ち向かう。その姿は大人へと成長する逞しさを感じさせ、観る者の胸に熱く迫った。
【特別賞】
溢れ出るイマジネーションと絶え間なく豊かなアニメーションで観客に深い余韻を残した『君たちはどう生きるか』に対して(宮崎駿監督及びスタッフ・キャスト一同):溢れ出るイマジネーションと細部のリアリティを表現したアニメーションは、主人公同様観客にも創造の積み木を持ち帰らせてくれた。時空間SFの尽きることないアイデアで観客の心を躍らせた※(崎はたつさきが正式表記)
『リバー、流れないでよ』に対して(上田誠氏、山口淳太監督はじめヨーロッパ企画及びスタッフ・キャスト一同):時の牢獄で翻弄される人間模様を、唯一無二のグルーヴと時間SFの尽きぬアイデアで描き出し、軽妙な笑いと発見の喜びを与えてくれた。
【最優秀男優賞】
佐藤浩市(『春に散る』『せかいのおきく』『仕掛人・藤枝梅安 2』『大名倒産』『キングダム 運命の炎』『ファミリア』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』):俳優・佐藤浩市ならではの滲み出る渋さと颯爽と放つ華が、若手俳優の魅力も最大限引き出し、作品を輝かせ続けている。
鈴木亮平(『エゴイスト』『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』):『エゴイスト』において、愛とエゴの狭間で葛藤しながらも献身的に注ぐ愛は繊細で切なく、実在感あるものとして観る者の心に刻まれた。
【最優秀女優賞】
菊地凛子(『658km、陽子の旅』):故郷への旅のなかでさまざまな人と出会い、自身の孤独な人生と向き合って、静かに奮い立つ瞬間を表現した。
黒木華(『せかいのおきく』『ヴィレッジ』『映画 イチケイのカラス』『ほつれる』):凛とした所作が美しい武家の娘であり、気っぷがよいおきゃんな娘でもある「おきく」の創出により、爽やかな青春ドラマに昇華させた。
【最優秀新進監督賞】
福永壮志監督(『山女』):村社会を離れ山に入って解放される凛の姿は現代にも通じる。そして自然を前にした人間の弱さと自立する姿を鮮明に描き出した。
金子由里奈監督(『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』):ぬいぐるみに話しかけ、思慮深く他者と関係を紡ぐ姿を絶妙なバランス感覚で描いた。溢れ出す優しさが私たちに寄り添ってくれた。
【最優秀新進男優賞】
目黒蓮 (『わたしの幸せな結婚』『月の満ち欠け』):キャラクターを華がある演技でスクリーンに焼き付けて観る者をとりこにし、美世への想いの移ろいを繊細な感情表現で演じきった。
奥平大兼( 『君は放課後インソムニア』『ヴィレッジ』『あつい胸さわぎ』『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』):物語に溶け込み、役柄を的確に捉える優れたバランス感覚と素直な表現力は、映画の未来を担っていくことを予感させる。
【最優秀新進女優賞】
山田杏奈(『山女』):逆境に屈せずに逞しく凛と存り続けた姿に圧倒させられ、その強い眼差しには観客の心を揺さぶるエネルギーを感じた。
高石あかり(『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』『Single8』『セフレの品格 決意』『わたしの幸せな結婚』ほか):言葉にせずとも目で訴えかける静の佇まいから抑えきれない感情の抑揚を全身で体現する躍動感まで、変幻自在に役に入り込んだ。※(「高」ははしごだかが正式表記)