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「どうする家康」秀吉役ムロツヨシ、「サイコパス」の反応に物申す

第39回「太閤、くたばる」よりムロツヨシ演じる秀吉
第39回「太閤、くたばる」よりムロツヨシ演じる秀吉 - (C)NHK

 松本潤主演の大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)で豊臣秀吉(羽柴秀吉)を演じたムロツヨシが、視聴者からの「サイコパス」「恐ろしすぎる」といった同役への反響について振り返った。

【画像】茶々が秀吉に戦慄の一言…第39回場面写真

 大河ドラマへの出演は2012年放送の「平清盛」(平忠度役)、2017年放送の「おんな城主 直虎」(瀬戸方久役)に続いて3度目となったムロ。「リーガルハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの脚本家・古沢良太が描いた秀吉は「欲望のかたまり」であり、底辺から這い上がり大出世を遂げ、家康の最大のライバルとなる人物。驚異的に頭がキレ、いつも早口。明るく、巧みに人の心に入り込む人たらしな性格でもあり、家康が苦手とする男として描かれた。

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 織田信長(岡田准一)に仕えていたころは腰が低く道化に徹していた秀吉だが信長が明智光秀(酒向芳)に討たれたのち豹変。“上様の仇を取る”という名目で光秀を追い詰め、目にもとまらぬ速さで織田家の実権を握り、天下取りに動いた。

 視聴者からの反応について「申し訳ないと思ってますよ(笑)」とムロ。「出演が決まってから、秀吉のことを勉強させていただきました。明るく人気者で、求心力があるとか……。“良い”面を出していけるのかなと思っていましたが、天下を取ってからは、野心の方が目立つようになってきまして(笑)。岐阜(※秀吉がわずかな期間で墨俣一夜城を築いたとも伝わる)の皆様に申し訳ない気持ちでおりました」と、自身も本作で描かれる秀吉に困惑したことを明かす。

 当初、ムロが台本を読んで最も驚いたのが秀吉のみ尾張ことばだったこと。「出演者発表会見の際に“とてつもなく早口で喋る”と秀吉のキャラクターの説明を受けて、“そんな設定なのか!”と内心驚きました(笑)。台本で一番驚いたのは、家康も信長も全く方言を喋っていないのに、わたしだけ尾張ことばだったこと。ムロが好き勝手お芝居しないように、せめて言葉だけでも……と尾張ことばで縛ったのかなと推測しました(笑)」と振り返り、苦戦したという尾張ことばの習得ではこんなエピソードも。

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 「尾張ことばを練習していると岡田准一と松本潤が違うイントネーションを吹き込んでジャマするんですよ(涙)! それで本番でとっちらかったのにOKが出て、そのままオンエアされたなんてこともありました。ですから地元の皆さん、もしムロのイントネーションが違うなと思った時は、ワルい共演者のせいだと伝えておきたい! あの2人しかそんなことやりませんから(笑)!」と必死に弁明し、笑いの絶えない撮影現場をうかがわせた。

 一方で、「今回は家康が主人公。ポイントで出てくる秀吉の線をどうつなぐのかがとてつもなく難しかった」とも。関白になってからの秀吉は家康に家臣になるよう迫り、石川数正(松重豊)を出奔させたのを機に家康の家臣たちを離れ離れにすることで徳川の力をそぎにかかる、という狡猾な面を前面に出していった。初期の第4回では、信長の下男だった秀吉が織田の家臣・柴田勝家(吉原光夫)に足蹴にされるシーンがあった。その様子にドン引きする家康に対し、秀吉はおどけてその場をやり過ごしていたが、ムロは本シーンをこう振り返る。

 「初期の秀吉は本当に明るい男。全てを笑って返せる男だけだと、やはりそこから後に天下を取るっていうのが、どうしても僕の中では繋がらなくてですね。計算高さと言いますか、あえての気持ち悪さ、あくどさがあるというのは気にしていましたね。“何を考えているのかわからない”と映るように仕向けていったところはあります」

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 第32回で描かれた小牧・長久手の戦いでは、織田信雄(浜野謙太)を擁する徳川軍が奇跡的に秀吉の大軍に勝利するも、最終的には秀吉に屈することになった。関白に上り詰めたことで信長をも超える存在となった秀吉だが、彼が信長と家康に勝っていたのはどんなところだったのか。

 「野心に関しては信長様の方が上、もしくはどっこいどっこいですかね。今回演じる上で気づいたことは、秀吉には先を読む能力があったこと。棋士の藤井聡太さんじゃないですけど、1手、もしくは2手先まで読む力がある。戦うこと、人を集めること、領地をまとめること、領地を得ること……全てにおいて、誰かが理解する前に動いている。加えて『小牧・長久手の戦い』のように、たとえ失敗したとしても、その先のことをすぐさま考えられる。失敗を受け入れる力も、信長様に勝っていたのではないかと。それは信長が討たれた後の行動の速さが物語っていると思います。そう落とし込めたときに、この台本に線が通りました」

第39回より家康(松本潤)と秀吉

 10月15日放送の第39回「太閤、くたばる」では秀吉の最期が描かれたが、本シーンについてムロは「とてつもなく哀しい終わり方」と感慨深げ。「プロデューサーさん、演出陣、古沢さんをはじめスタッフの方が秀吉の最期をどのように描いてくださるのか、すごく楽しみにしていました。僕も思いがけない秀吉像に毎回台本で驚かされ、“サイコパス”だったり視聴者の皆様からご感想をいただいて。僕としては台本通りにやっているだけのつもりなんですけど、野心があるだけでなく計算ができる男としてやってきて、その結果天下を取れたとも思うんですが、そんな男の最期。史実も含めて映画、ドラマなどでさまざまな最期を見てきましたけど、今回はとてつもなく哀しい終わり方だなと思いました。最後の最後で家康と話せたところでようやく本音を出せた。このシーンに関しては松本さんと二人きりで話す時間も設けさせてもらって、台本を変えさせていただいたり、お芝居を足したりもさせていただきました」

 脚本の古沢とは会う機会がなかったと言い、「会うといろいろと聞いてしまうので、コンタクトを取らないようにしていたんですけど、いずれ秀吉を演じたわたしについての感想をぜひ伺えたらと思っています」と話していた。(編集部・石井百合子)

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