眞栄田郷敦の初主演映画、1年越しの劇場公開!ポスタービジュアル&予告編公開
眞栄田郷敦の初主演映画『彼方の閃光』が12月8日より公開されることが決定した。本作は、眞栄田演じる色のない世界で生きる主人公が、戦後日本を代表する写真家・東松照明(とうまつ・しょうめい)の写真に惹かれ、長崎・沖縄の戦争の記憶をたどるロードムービー。昨年10月24日~11月2日に行われた第35回東京国際映画祭の「Nippon Cinema Now」部門で上映されたが、その時点では配給会社が決まっておらず約1年越しの劇場公開となった。併せて、眞栄田演じる主人公の顔をアップで捉えたポスタービジュアルと、予告編も公開された。
【動画】眞栄田郷敦が色のない世界で生きる青年に『彼方の閃光』予告編
主人公・光は、生まれて間もなく視力を失い、母の説得により手術を受けた。手術は成功するも、視界に色彩を感じることが出来ずにいた。20歳になった光は東松照明の写真に導かれるように長崎へ向かい、旅先で出会った自称革命家の男にドキュメンタリー映画製作に誘われ、長崎・沖縄の戦争の痕跡を辿ることになる。
東松照明は、2012年に亡くなるまで、川田喜久治、奈良原一高、細江英公らとともに日本の写真界を牽引してきた、戦後を代表する写真家の一人。戦後の日本人、米軍基地、長崎、そして沖縄など数々のテーマに取り組み、「占領」「家」などの問題作を発表。1966年に発表された「11時02分NAGASAKI」は、風化しつつあった原爆の記憶を改めて呼び起こし記録したものとなり、東松の代表作となった。
監督は、ホウ・シャオシェンやジャ・ジャンクーら名匠たちの作品の映画音楽を手掛け、『アグリー』『雨にゆれる女』『パラダイス・ネクスト』などの監督作を発表してきた半野喜弘。眞栄田のほか池内博之、尚玄、加藤雅也らが出演。“日本のヒップホップ・クィーン”として知られるAwichが、本作で本格的な女優デビュー。光が長崎・沖縄の戦争の痕跡をたどるなかで出会う、心に傷を負いつつもたくましく生きる女性を演じる。
ポスタービジュアルは、色のない世界で生きる主人公・光が“何か”をアップで捉えた姿と、海面でたゆたう二人の人影を捉えた姿で構成。予告編では、旅路で光が目の当たりにすることになる今なお残る戦争の痕跡や、光にとってかけがえのない出会いとなる人々の姿の断片や記憶がモノクロの映像美でモンタージュのように映し出される。
主演の眞栄田は、出演の経緯について「お話をもらってまず作品のイメージを映像化したトレーラーを観せていただいたのですが、これまで体験したことがなかったモノクロの映像や世界観に強く惹かれました。その後、脚本を読ませてほしいとお願いをしたのですが、『やらせてください』と即答していました。この作品を通して、『戦争』という歴史を伝えていかなければならないという意識を改めて強く持つことになりましたし、自分なりに伝えていける方法があることを実感しました。自分自身としては、あの時持てるすべての力を出したし、出させてもらったので、是非色んな方々に観ていただきたいと思っています」とコメント。
監督のほか原案、脚本、音楽、スタイリングを兼任する半野は、劇場公開が決定した心境を「色彩と平和、この2つのキーワードが両輪となってこの映画は走ります。当然のように自分の手の中にあると感じているものを見つめ直し、主人公の眼差しを通してその意味や価値を問う。そんな映画を作りたいという思いから『彼方の閃光』は生まれました。本作にとって主人公・光の瞳はあまりに重要な存在で、私自身が何を求めているのかを自分でさえ分からずにいました。それはまるで私自身が暗闇を彷徨っているような感覚でした。そんな中、私は眞栄田さんの瞳に、まさに探して求めていた『光』を見ました。それは私にとって閃光と言えるものでした。公開までの道のりは困難の連続でしたが、ついに辿り着いたという気持ちです。主人公の眼差しは、この映画を観る人の眼差しでもあります。その眼差しに映る世界が観る人の心に触れることを願っています」と語っている。(編集部・石井百合子)
映画『彼方の閃光』は12月8日よりTOHO シネマズ日比谷ほか全国順次公開
ストーリー
生まれて間もなく視力を失った10歳の少年・光(ヒカリ)。光にとって世界は「音」であり、カセットテープに自分の世界を録音していく。光の眼は手術をすれば視力を得られる可能性があり、母の説得により手術を受けることを決意する。20歳になった光(眞栄田郷敦)は、東松照明の写真に強く導かれるように長崎へ。旅先で出会った自称革命家の男・友部(池内博之)にドキュメンタリー映画製作に誘われ、長崎・沖縄の戦争の痕跡を辿ることに。その中で、心に傷を負いつつもたくましく生きる女・詠美(Awich)、沖縄を愛し家族を愛する男・糸洲(尚玄)と出会う。戦争の痛ましい記憶と彼ら3人の生きざまは、光の人生を大きく揺さぶることとなる。