庵野秀明、あふれるウルトラセブン愛 ウルトラシリーズは「本当に面白い」
庵野秀明が17日、TOHOシネマズ池袋で行われた、庵野セレクションによる55周年の4K版「ウルトラセブン」上映&トークイベントに登壇し、セブン愛あふれるトークを繰り広げた。
【画像】庵野秀明が選んだ傑作エピソード!「円谷映画祭2023」上映作品
円谷プロダクションの創立60周年を記念し、代表作を上映する「円谷映画祭2023」内のプログラムとなった本上映会。「ウルトラセブン」全49話の中から庵野自らがセレクトした4つのエピソード(第4話「マックス号応答せよ」、第8話「狙われた街」、第14話「ウルトラ警備隊西へ 前編」、第15話「ウルトラ警備隊西へ 後編」)を上映した後に、庵野によるトークが行われた。
本編上映後、ステージに登壇した庵野は、背後のスクリーンを見上げながら「(画面の比率が)4:3なので、ちょっと横が足りないのが残念ですが、でもこの大きさで見られるのはいいですよね」とあいさつ。1967年から68年にかけて放送された「ウルトラセブン」をリアルタイムで観ていたと語る庵野は、「今回選んだ4本は、特撮が大画面向きの作品。普通に選ぶなら最終回(「史上最大の侵略」)の前後編とかを選ぶと思うんですけど、それは今までも上映されてきたんでいいかな」とその意図を説明した。
「大人向けのエピソードが多い」と言われることが多い「ウルトラセブン」だが、庵野自身も「当時は小学校低学年だったので、今ウケているようなエピソードは、難しいなと思って観ていました」と告白。ドラマパートよりも、宇宙人とのファイトシーンなどを楽しみにしていたという。
続けて、大人になって「ウルトラセブン」の良さがわかるようになってきたと力説。セブンは、ウルトラマンのように最初から巨大化するのではなく、相手の宇宙人に合わせて、等身大で登場することも多かったが「ウルトラマンは大きくなるものだと思っていたんで、等身大で活躍するというのが衝撃で。子どもの頃は不満だったんですけど、大学生になると『これでいいんだ』と、その良さに気付きました。『ウルトラセブン』は押井守という人も大好きで、中学生(くらい)の時になんでこれを観ていたんだろうと思うんですが、それくらい魅力があったんだと思いますね」としみじみ語った。
またこの日の4つのエピソードの中には、女性に変身した宇宙人にウルトラアイを盗まれてしまったり、やはり女性に変身した宇宙人と友好関係を築いたと思ったら騙されて、逆に地球侵略の危機に陥ってしまうなど、主人公モロボシ・ダンのお人好しエピソードが次々と登場。そのことについて、「これはダンが甘いんですよ。女性に弱いんだなと思います。まんまと騙されてますからね。ちょっと本人に問題があるんじゃないかと思いますね」と指摘して会場は大笑いとなった。
そんなセブン愛あふれるトークを繰り広げた庵野は、あらためて「ウルトラセブン」は創作活動の原点である、と明かす。「やはり侵略者というテーマに初めてキチンと触れたのが『ウルトラセブン』でした。地球防衛軍という組織があって、毎回宇宙人が攻めてくるというテーマにすごく惹かれましたね。その前には東映が『キャプテンウルトラ』というのを作っていて、あれも侵略がテーマだったんですけど、舞台が宇宙だったから。『ウルトラセブン』は地球に来てくれるので、すごく腑に落ちて観ていた気がしますね」と明かす。
そして最後に「本当にウルトラシリーズは面白いんですよ!」と力を込めた庵野は、「僕らの歳だとそんなに評価されていないけど、『A(エース)』も『タロウ』も『ティガ』も面白いんです。円谷さんのサブスクもあるので、観てないものがあったらぜひ」とオススメ。さらに「ウルトラシリーズだけでなく、『ミラーマン』も面白いですよ。ダメな回もありますけど、そこは我慢してもらって。あとは『ジャンボーグA』も『ファイヤーマン』も面白いですね。『ファイヤーマン』はいい回少ないですけど(笑)。あと『怪奇大作戦』もいいんですよ。円谷さんのイベントで今度トークをやりますんでぜひ来ていただけますと」と11月25日に開催予定の「怪奇大作戦」上映会もアピールしていた。(取材・文:壬生智裕)
「円谷映画祭2023」は12月14日まで全国劇場で開催中