松本幸四郎、叔父・中村吉右衛門さん思い涙「鬼平犯科帳」引き継ぐ

　歌舞伎俳優の松本幸四郎が7日、都内で行われたドラマ「鬼平犯科帳　本所・桜屋敷」の完成披露試写会に登壇。かつて同じ“鬼平”を演じた、叔父で歌舞伎役者だった故・中村吉右衛門さんを思い涙する場面があった。この日は、市川染五郎、松平健も来場した。

松本幸四郎＆市川染五郎が親子登壇「鬼平犯科帳」完成披露フォトギャラリー

　「鬼平犯科帳」は、江戸時代に悪党どもから“鬼の平蔵”と恐れられた火付盗賊改方（ひつけとうぞくあらためかた）長官・長谷川平蔵の捕物（罪人の捕縛）を扱う長編シリーズ。時代小説の大家・池波正太郎の生誕100年を記念し、池波の代表作にして時代劇作品の金字塔でもある傑作がよみがえる。

　八代目松本幸四郎（初代松本白鸚）をはじめ、丹波哲郎、萬屋錦之介、二代目中村吉右衛門が演じてきた平蔵。松本は吉右衛門さんの「鬼平犯科帳」をリアルタイムで観ていたといい、「素敵さ、格好良さ、懐の深さ、大きさ」に魅了され、どの作品も「面白い。格好いい」と感動したことを明かす。

　そして、「その気持ちを持って挑もうと思いました。“自分流”とか“新たな”というよりかは、誰よりも長谷川平蔵を愛していることは負けないぞというつもりで務めさせていただきました」と撮影時の思いを告白。また、撮影に使用した小道具に触れると「叔父が使っていた……煙草入れとか……。それは御守りではありません。一番格好いい煙草入れでしたから、使わせていただきました」と吉右衛門さんを思って涙ぐむ場面もあった。

　息子の市川も、若き日の鬼平・“本所の銕（てつ）”こと長谷川銕三郎を演じているが、松本は「（役の）擦り合わせはないね。似てましたかね？」と観客に質問して笑いを誘う。市川は松本の芝居を見たり、小道具の持ち方などを教わって役に反映させていったという。

　またこの日、松岡重兵衛役で出演することが発表された松平は「いい作品が出来上がりまして、とっても嬉しく思っております」と笑顔。過去に吉右衛門版「鬼平犯科帳」に出演しており、「着流しで歩いている平蔵の姿は、吉右衛門さんとダブるような風格がありまして、さすがだなと思いました」と松本に感心。続けて、「わたくしは斬られて死ぬわけですが、吉右衛門さんにも抱かれて、2回目も（松本に）抱かれて死ぬというのはすごくうれしい。いい思い出になります」と明かし、会場の笑いをさらった。（錦怜那）

テレビスペシャル「鬼平犯科帳　本所・桜屋敷」は2024年1月8日（月・祝）ひる1時／よる7時 時代劇専門チャンネルにて独占放送