『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』主題歌「ピュア・イマジネーション」が劇中で果たす重要な役割
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のポール・キング監督が来日時にインタビューに応じ、主題歌「ピュア・イマジネーション」に込めた思いを語った。(映画の終盤の展開に触れています。鑑賞後にお読みください)
本作は、『夢のチョコレート工場』(1971)では故ジーン・ワイルダーさんが、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)ではジョニー・デップが演じたことで知られるエキセントリックな工場長ウィリー・ウォンカの若き日を描いたファンタジー。新天地へやって来たウィリー(ティモシー・シャラメ)は孤独な少女ヌードル(ケイラ・レーン)らの協力を得て、夢のチョコレート店を開こうと奮闘する。本作のために数々のミュージカル楽曲が生み出されたが、「ピュア・イマジネーション」とウンパルンパの歌は『夢のチョコレート工場』からの曲だ。
キング監督は「僕たちはこの映画の“ホーム”となるものを見つけたいと思っていて、それが、とてもアイコニックな楽曲である『ピュア・イマジネーション』だったんだ」と説明。ただ、『夢のチョコレート工場』ではウォンカの歌だった同楽曲だが、本作では最初、違う人物に紐づけられている。
「本作で最初に『ピュア・イマジネーション』のテーマを聴くのは、ヌードルのシーンでだ。“ピュア・イマジネーション(純粋な想像力)”はヌードルがウィリーに与えるもの、というアイデアが気に入ってね。ヌードルは読書家で、本編には使わなかったけれど、彼女が図書館でウィリーに“本とは何か”を紹介するというシーンも撮影した。文学は“ピュア・イマジネーション”の世界だから。そういうわけで、彼が最後に彼女に向けてこれを歌う時には、彼女がくれたものを返す形になっているんだ」
「ピュア・イマジネーション」の「Want to change the world? There's nothing to it(世界を変えたい? そんなの簡単さ)」という歌詞がずっと好きだったというキング監督。「チョコレートの町へやって来たウィリーは、ここにはたくさんのチャンスがあり、一生懸命やれば全てが上手く行くだろうと思うけれど、そうは行かない。世界はいつも夢をかなえさせてくれるわけではないからね。利己的で、シニカルな場所でもある。でも彼に必要なのは、それを受け入れず、挑むこと。だから彼は挑戦し、世界を変えることを学ぶ。それが本作のストーリーだ。映画のラストまでには、彼は皆が知るウィリー・ウォンカになり、『ピュア・イマジネーション』を歌う。なぜなら彼はこの曲の教訓を学び、イマジネーションの力を学び、時には世界を変える必要があると学んだからだ」(編集部・市川遥)
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は公開中