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『ゴールデンカムイ』杉元の傷は顔だけで約200の特殊メイクを用意

映画『ゴールデンカムイ』より山崎賢人演じる主人公・杉元佐一
映画『ゴールデンカムイ』より山崎賢人演じる主人公・杉元佐一 - (C)野田サトル/集英社 (C)2024映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

 野田サトルの累計発行部数2,700万部を突破する人気漫画を実写化する『ゴールデンカムイ』(公開中)で、個性豊かなキャラクターたちの特殊メイクを担当したのが、特殊メイク工房・株式会社 ZOMBIE STOCK の代表を務める中田彰輝。キャストたちの熱演に加え、玉木宏演じる鶴見中尉の顔の傷、勝矢演じる柔道の達人・牛山の額のコブなどリアルかつユニークな特殊メイクも相まって、SNSではキャラクターの再現度の高さが話題沸騰だが、主人公・杉元(山崎賢人※崎は「たつさき」)の顔の傷は「200個近く用意した」という。チームとして活動し、近年では映画『ザ・ファブル』『キャラクター』、Netflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」などのヒット作に携わった中田が、傷メイクへのこだわりやクリエイターとしての持論までを明かした。

【画像】再現度凄い!第七師団ビジュアル

 明治末期の北海道を舞台に、元陸軍兵・杉元佐一(山崎)とアイヌの少女・アシリパ(山田杏奈※リは小文字)が、莫大なアイヌの埋蔵金を巡り軍人や脱獄囚らとバトルを繰り広げる本作。杉元は二〇三高地はじめ日露戦争での過酷な戦闘を生き延び、“不死身の杉元”の異名をとる人物。彼の全身に刻まれた無数の傷は、彼がいかに過酷な状況にあったのかを物語るもので、銭湯で杉元の体を目にしたおっちゃんが「あんた、よく生きてたね…」と驚き、手を合わせるほどだ。

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 杉元は顔の大きな傷が特徴だが、中田は「二〇三高地のシーンでは無傷だった杉元が戦いの中で徐々に顔に傷を負っていくのですが、後にそれが杉元の顔に残る象徴的な古傷になることを逆算して、傷の位置を考えて作ってきました」と言い、「顔の傷は医療用の接着剤をベースに作っていて、毎回使い捨てなので200個近く用意していました」と裏側を明かす。

 また首から下にかけての無数の傷については「“CGか?”とおっしゃる方もいましたが、特殊メイクです。杉元が入浴するシーンだったのでメイクが崩れないかヒヤヒヤしながら、カットが掛かる度にバスタオルを持って山崎さんのところに駆け寄って拭いていました」と地道な苦労があったと言い、「ちなみに、しっかり鍛え上げられた体はもちろんご自前です。さすがだと思いました」と山崎の役者魂に圧倒されたとも。

この後、恐怖の“串刺し”シーン!

 杉元についてはヒグマに襲われた際にできた手の甲の傷や回復していく過程、鶴見の団子串刺しシーンの串も制作したほか、柳俊太郎(※柳は木へんに夘)が一人二役で演じた二階堂兄弟の眉毛がなく眉間に縦皺のある特徴的な額は、柳とボディダブルの二人分を用意し、アチャ(井浦新)の顔の古傷、尾形上等兵(眞栄田郷敦)の顎の縫合傷、月島軍曹(工藤阿須加)の顔の殴打傷など多くのキャストを担当している。

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 なお、特殊メイクは「リアルに作るだけでは面白くない」というのが中田の持論。「もちろん作り手の個性も大事ですし、目的に応じたセンスみたいな物も絶対必要だと思います。痛そうに見えるのは普通ですよね。でも映像作品で見せる時は“この傷カッコいい!”と思ってもらえるよう、ウソにならない程度に味付けをする。その匙加減がたまらなく好きです。なので、杉元の傷も位置には凄く気を使いました。山崎さんの顔のバランス的に、ここにラインを持ってくるとかっこよく見えるとか、そういうのって実は重要だったりしますね」と並々ならぬ情熱、こだわりを見せた。(編集部・石井百合子)

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