見だしたら止まらない…ロマンス史劇「魅惑の人」なぜハマる!?
1月21日からNetflixで配信がスタートした「魅惑の人」。朝鮮王朝を舞台にしたロマンス時代劇ながら、テレビ・非英語部門で週間グローバルトップ10入り(1月29日~2月4日集計で6位)するという破格のヒットを記録、日本でも2月13日時点で、「今日のTV番組TOP10」で9位にランクインしている。一体何が視聴者の心を引きつけているのだろうか?(文・前田かおり)※本文には一部内容に触れる部分があります。
【画像】同一人物とは思えない!?「賢い医師生活」でのチョ・ジョンソク
「魅惑の人」とは?
清に侵略された頃の朝鮮王朝を舞台に、王権争いと宮中の権力争いに巻き込まれた王と、彼に復しゅうを誓うことになった男装ヒロインの運命を描くロマンス史劇。囲碁を通して身分も性別も関係なく心を通じ合ったはずの男女が、運命のいたずらによって互いを欺くことになるなど見どころ満載で、正統派時代劇の流れを汲みながらも、毎回、驚きの展開に、その後が気になって次回を見ずにはいられなくなってしまう。
主演は「賢い医師生活」シリーズなどで人気のチョ・ジョンソクと、「新米史官ク・ヘリョン」や「それでも僕らは走り続ける」などのシン・セギョンが務めているほか、「愛の不時着」の北朝鮮兵士役で注目を集めたイ・シニョンが2人の複雑な関係に巻き込まれる役どころで出演していることでも話題に。演出は「模範刑事」シリーズのチョ・ナムグク、脚本は「王になった男」のキム・ソンドクが手掛けている。
あらすじは?
朝鮮の王イ・ソン(チェ・デフン)は、清への降伏の条件として、異母弟チナン大君(チョ・ジョンソク)を人質として差し出すことに。兄を慕い、忠実な臣下として仕えるチナン大君は、得意の囲碁で皇帝の弟に気に入られ、捕虜の放免を交渉するなど朝鮮のために力を尽くしていたものの、朝鮮に戻ると、疑心暗鬼となった王に冷遇されてしまう。
カン・ヒス(シン・セギョン)は、男装をして、賭け囲碁をしては勝ち取った金で清に連れ去られた捕虜を救うことに尽力していた最中、ひょんなことからチナン大君と知り合い、彼に惹かれていく。ヒスを男性だと信じるチナン大君は、「濛雨(モンウ)」という名を授け、唯一心を許せる友となるが、王が急死し、王座に就いたことでモンウとは決別。3年後、姿を消していたモンウが、王イ・インとなった彼の前に、囲碁の相手=棋待令(キデリョン)となって現れる。
主演の圧倒的存在感&男装ヒロインの清楚な美しさ
物語の始まりは、時代劇では定番の後継者をめぐる権力闘争。優秀でイケメン、人望もあるが、権力には興味がなく、王である兄を慕うピュアな男・チナン大君が王権と宮中勢力を握ろうとする者たちの陰謀に翻弄された挙句、運命もそして人間性も激変していく。
演じているチョ・ジョンソクはNetflixの大ヒットシリーズ「賢い医師生活」で肝胆膵外科医の助教授イ・イクジュン役で知られる。親しみやすいビジュアルにコミカルな役どころが得意で愛されキャラが似合う彼は芸達者で、現代劇はもちろん、ソン・ガンホと共演した映画『観相師-かんそうし-』、ヒョンビン主演の『王の涙 イ・サンの決断』といった時代劇でも絶賛されてきた。
本作でもそんな抜群の演技力で、序盤は好青年で王になるにふさわしい資質を持つ者としてのオーラも漂わせ、ヒスが心惹かれて行くのも納得な男っぷりの良さも見せつける。特に、急転直下の出来事でチナン大君が王になる運命を受け入れたところは見もの。その瞬間から、演じるジョンソクの表情や目の動き、声音が変化し、凄みが増してくる。ジョンソクの役への没入感がハンパなく、ドラマに引き込まれずにはいられない。
チナン大君と出会ったことで運命が揺れ動くことになる、男装のヒロイン、カン・ヒスを演じているシン・セギョンは「それでも僕らは走り続ける 」といった現代劇でも知られるが、もともと子役出身で時代劇「名家の娘 ソヒ」でデビュー。「善徳女王」や、ハングル誕生の裏側を描いた「根の深い木 -世宗大王の誓い-」ではハン・ソッキュらベテラン俳優の中で主演を務めたほか、「六龍が飛ぶ」「新米史官ク・ヘリョン」などヒット時代劇に多数出演している。
本作では、父親に幼い頃から手ほどきを受けた囲碁の才能で“賭け囲碁師”として暗躍する男装ヒロインに挑んでいる。聡明で清楚なお嬢様ぶりを匂わせる韓服姿が美しく、どう見たって女性にしか見えないのだが、男装ヒロインものでそれを言っては野暮ってもの。モンウを男だと信じるチナン大君との恋の行方、囲碁の名手で相手の考えを先読みすることに長けた2人の関係がどんな展開を見せるのか楽しみだ。
「愛の不時着」キャストが多様な役柄でエモいドラマを盛り上げる
本作では、大ヒット韓ドラ「愛の不時着」で見覚えのある俳優たちが大活躍している。まず、ヒスに思いを寄せるミョンハを演じるイ・シニョン。「愛の不時着」での北朝鮮のイケメン兵士役で一躍知られ、その後、「昼と夜」ではナムグン・ミン、「浪漫ドクター キムサブ3」ではハン・ソッキュと共演するなど着々とキャリアを積み、本作で時代劇に初挑戦。彼女を支えようと奔走する切ない役どころで人気が爆上がりしそうだ。
口の悪い北朝鮮兵士役で大ブレイクしたヤン・ギョンウォンは、出世のためならば手段を選ばないユ・ヒョンボを演じる。近作の「サムダルリへようこそ」で演じた気弱な財閥御曹司役とは真逆の卑劣すぎる悪役に驚く。また、チナン大君の兄で王のソン役には、ヒロイン・セリのお調子者の長兄を演じたチェ・デフンと、意外性のあるキャスティングでそれぞれに印象を残している。
ほかにも、ヒスの父で領議政カン・ハンスン役を「梨泰院クラス」で主人公セロイの父を演じた名優ソン・ヒョンジュ、チナン大君の実母で大妃に「サイコだけど大丈夫」のチャン・ヨンナムなど、人気韓国ドラマで活躍している演技派俳優たちが多数出演しているところも注目だ。