『キングダム』李牧役になぜ小栗旬?松橋Pが明かす
原泰久の漫画を山崎賢人(※崎は「たつさき」)主演で実写映画化する『キングダム』シリーズの第4弾『キングダム 大将軍の帰還』(公開中)で、前作『キングダム 運命の炎』のラストから登場した軍師・李牧を演じる小栗旬。映画では戦場には姿を見せず、静かに戦局を見守る謎めいた人物として描かれているが、原作ファンの間でも圧倒的な人気を誇る本キャラクターに小栗を起用した理由を松橋真三プロデューサーが語った。
紀元前・中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の少年・信(山崎)と、中華統一を目指す秦国の若き王・エイ政(吉沢亮※エイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくり)を描く本シリーズ。小栗演じる李牧は、前作のラストで秦国の軍師見習い・河了貂(橋本環奈)、蒙毅(萩原利久)の前に剣士・カイネ(佐久間由衣)らを率いて颯爽と姿を現した。河了貂らは得体のしれない李牧に警戒心をあらわにするも李牧は丸腰の彼らを攻撃することなく、彼が何者なのか、その素性は謎に包まれている。
原作には李牧について「王騎を超える化け物」という記述もあるが、小栗と映画『銀魂』シリーズ(2017・2018)、『新解釈・三國志』(2020)などで組んできた松橋Pは、小栗に本役をオファーした理由をこう語る。
「映画とともに秦軍も成長していて、登場しただけで信、エイ政、王騎(大沢たかお)といった面々を脅かすぐらいの存在感が必要でした。それには小栗さんと(ホウ煖役の)吉川(晃司)さんぐらいのクラスの方でなければならない。観てくださる方に“いやいや負けるわけないでしょ”と思われたらもう終わりなので。だから、敵陣にも大スターたちを揃えて、大スター同士が激突するみたいな風にしないと“どっちが勝つかわからない”と感じていただけないのではないかと思っていました」
松橋Pはさらに、李牧が「原作でストーリーを引っ張っているキャラクター」だとも。「原作だと信が李牧とどう対決するかっていう話が延々と描かれている。なので、“この人はそんなこと考えてたんだ”という驚きがある人じゃないといけないですよね。李牧って“こうだと思ってたら、そうではなくてもっとこんなことを考えていて、対峙したときにはもっと先のことを考えていた”みたいな人だと思う。だから“居る”だけでそういったことを想起させてくれるような大物じゃないと演じられないですよね」
小栗の撮影はトントン拍子で進められていったという。「もう現場に現れただけで李牧に見えてしまう。ビジュアルを作っていくにつれてどんどん李牧になっていきましたし、背も高いし、本当にかっこいい。小栗さんなりのアプローチがしっかりとあって、監督もスタッフも全幅の信頼を寄せている様子でした」
シリーズ最終章と謳う本作で、李牧の正体がどこまで明かされるのかにも関心が集まっている。(編集部・石井百合子)