3時間の『オッペンハイマー』長すぎて飽きてしまうのでは…編集者が不安視していた
“原爆の父”と呼ばれた理論物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落を、クリストファー・ノーラン監督が3時間(180分)の長尺で描き出した映画『オッペンハイマー』(全国公開中)。同作の編集を担当し、第96回アカデミー賞で編集賞に輝いたジェニファー・レイムは、上映時間が長すぎるが故に、観客が映画に飽きてしまうのではないか、不安を抱いていたという。
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現地時間3月10日に米・ロサンゼルスで行われたアカデミー賞授賞式の場で、ジェニファーは「正直なことを言うと、私が知っているオッペンハイマーという人物の視点から映画の脚本を読んだ時、この映画が3時間も持つかどうか想像できなかった」と Entertainment Weekly に告白。オッペンハイマーの知名度はもちろん、彼の謎めいた性格も含め、長尺の映画にした時に飽きられてしまうことを恐れていた。
しかし、アカデミー賞主演男優賞に輝いた主演のキリアン・マーフィが、オッペンハイマーを魅力的に演じたことで、ジェニファーの不安は払拭された。「キリアンはこの役にインテンシティをもたらした。私は彼の演技に心を奪われた。オッペンハイマーがどんな人物だったのか、知りたがっていた」と作品にのめり込んでいたことを明かし、キリアンの演技を絶賛している。
劇中のお気に入りのシーンとして、オッペンハイマーがアメリカ陸軍の防諜部将校ボリス・パッシュ(ケイシー・アフレック)と対峙するシーンを挙げたジェニファー。「ケイシーのシーンは、とても長いバージョンをカットした。エマ(・トーマス/プロデューサー)に初めて見せた時、彼女も気に入ってくれた。短縮版でいくことに、私は興味があった。二人の素晴らしい役者、奇妙な雰囲気、さまざまな出来事が重なっている。あのシーンのキリアンは圧巻だった」と Frame.io Insider で振り返っている。(編集部・倉本拓弥)