ピクサー名作にこの人アリ 天才ピート・ドクター監督『ソウルフル・ワールド』までの軌跡
第88回アカデミー賞で長編アニメ映画賞に輝いたディズニー&ピクサーの感動作『インサイド・ヘッド』(2015)の続編『インサイド・ヘッド2』が8月1日に全国公開される。これを記念して、これまで劇場未公開だった名作『ソウルフル・ワールド』(2020)が4月12日より公開。同作を手がけたのが、『モンスターズ・インク』など、オスカーに輝く数々の名作アニメを支えてきたピート・ドクター監督だ。
ピクサー初期メンバーの一人として、長きにわたり同社の創造性を支えてきたピート・ドクターはスタジオ初の長編作品となった『トイ・ストーリー』(1995)において、アンドリュー・スタントンらと原案を務めただけでなく、バズ・ライトイヤーのキャラクターデザインを担当した。
ピクサーの原点とも言うべき人気シリーズに携わった後は、子どもたちを怖がらせることが仕事のモンスターたちと、人間の女の子のふれあいを描いた『モンスターズ・インク』(2001)を監督し、長編デビュー作にもかかわらず、アカデミー賞4部門でノミネート。映画も大ヒットを記録し、やはりスタジオを代表する一本となった。
その後、亡き妻との思い出が詰まった家に大量の風船を結び付けて大冒険に出る老人を描いた『カールじいさんの空飛ぶ家』(2009)、子どもの心の成長を擬人化した“感情の世界”で描いた『インサイド・ヘッド』と、原案・脚本・監督を務めた2作品でアカデミー賞長編アニメ賞を受賞。荒廃した地球でたったひとりゴミ処理を続けるロボットの物語を描いた『ウォーリー』(2008)でも原案を担当している。
魅力的なキャラクターと共に、人の心の機微や、かけがえのない友情、誰かを大切に想う気持ち、身近に存在するふとした幸せを描いてきたピート・ドクター。現在、ピクサー・アニメーション・スタジオのチーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務める彼にとって、劇場公開を迎える『ソウルフル・ワールド』は、「23年もの歳月をかけて制作した」と語る渾身の一本でもある。
本作は、ニューヨークでジャズピアニストを目指す音楽教師ジョーが、マンホールに落ちてしまったことから、生まれる前の魂(ソウル)たちの世界に迷い込み、何百年も“やりたいこと”が見つけられないソウルの女の子“22番”と出会うことで始まる物語。22番との冒険を通して、自分だけのかけがえのない“人生のきらめき”に気づいていくジョーの物語は、まさにピート・ドクターの集大成。今回の上映は、3度目のオスカーに輝いた名作を、スクリーンで確認できるまたとない機会となりそうだ。(編集部・入倉功一)
映画『ソウルフル・ワールド』は4月12日より全国公開
映画『インサイド・ヘッド2』 は8月1日より全国公開