戸田奈津子、ハリソン・フォードは“バディ” 46年前の来日を回顧「蕎麦屋にいても誰も何とも言わない」
字幕翻訳者の戸田奈津子が10日、都内で行われた「午前十時の映画祭14」開催記念『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984)のトーク付特別先行上映イベントに登壇し、特別な存在であるハリソン・フォードについて語った。
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本作の翻訳に携わった戸田は、「40年後に(シリーズ)5作目をやるとは夢にも思いませんでした。去年のもの(『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』)をご覧になったら、さすがにこれで終わりという終わり方をしていました。40年にもわたって、皆さんに愛されるシリーズを担当させていただいて冥利に尽きます」と満足そうな表情を見せた。
数々のハリウッドスターから通訳を“ご指名”されていた戸田は「ハリソン、(スティーヴン・)スピルバーグ、(ジョージ・)ルーカスとは何べん会ったかわからないくらいお仕事させていただいて、親しく付き合わせていただきました。素晴らしい方々で、ハリソン、スピルバーグは、お家までうかがっちゃったりして、楽しい思い出がいっぱいあります」と交流も打ち明ける。
ハリソンとは1978年の『スター・ウォーズ』来日キャンペーンから交流がスタート。当時を「銀座を歩いても誰も振り向かないし、蕎麦屋で蕎麦を食べていても誰も何とも言わない。Tシャツにジーパンで大学院生みたいだった」と懐かしみ、「目の前でビッグになっていくのを見たのはハリソン。でも、あれほど変わらない人はいない。飾らない。スターぶらない」と感心する。
ハリソンは「アクター」ではなく「ストーリーテラー」と自称しているそうで、「謙虚で、『僕は物語を語ってあげる人』と言い、それに徹している人。『フェイマスアクター』なんて絶対に言いません。俳優によってはゾロゾロ“お付き”を連れて来る人もいるけど、彼は単身で来る。特別扱いをされることが嫌いな人」と人柄も明かす。そして、それぞれが「役者」「字幕翻訳者」として遅咲きであったことも含め、「おこがましいですけど、同じ時代、映画が好きでその道を貫いたという点では『バディ』というか『パル』というか、そういう気持ちがしています」と語った。
また、スピルバーグについては「ハートが子供。若い」と感嘆。オフィスを訪れ、子役たちや犬と遊ぶ姿を見たそうで、「そういうハートを持っているから、『E.T.』みたいな優しい、子供の気持ちがわかる映画ができるんだなと思いました」と推測する。ルーカスを初めて見かけたのは、字幕翻訳を手掛けた初映画『地獄の黙示録』のフランシス・フォード・コッポラ監督の自宅で開かれたパーティーだったそうで「宴たけなわになって、コソコソとやって来て、コッポラとちょこちょこと話して、パッと帰ったんです。本当にシャイな人で、いつも目を伏せていて、最初はとっつきにくい方。付き合いが深まるとジョークも言ってくださった」と振り返っていた。(錦怜那)
「午前十時の映画祭 14 デジタルで甦る永遠の名作」開催期間:4月5日~2025年3月27日 上映期間:1作品2週間上映(※1週間上映の作品もあり)