東宝・才能発掘プロジェクトが短編オムニバス公開 『ゴジラVSメガロ』、奥平大兼主演のSF学園ゾンビ映画など上映
23日、東宝が手掛ける才能発掘プロジェクト「GEMSTONE Creative Label」レーベル初の劇場公開作品となる短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』の製作発表会見が都内で行われ、『ゴジラVSメガロ』や、奥平大兼主演の『フレイル』などが上映されることが明らかになった。会見には、プロジェクトの公式アンバサダー上白石萌歌をはじめ、上映作品となる『ゴジラVSメガロ』の上西琢也監督、『knot』の平瀬遼太郎監督、『ファーストライン』のちな監督、『フレイル』の本木真武太監督、そして各作品を手掛けた東宝の若手プロデューサー陣が出席した。
「GEMSTONE Creative Label」は、東宝の若手社員たちが立ち上げたコンテンツ制作レーベル。フォーマット、メディア、実績の有無などを問わず、クリエーターが自由に才能を発揮できる場を提供する才能支援プロジェクトとなる。
東宝のエンタテインメントユニット開発チーム常務執行役員の大田圭二は「業界のリーディングカンパニーの責任として、持続的な成長を促進させるために、若手の才能の発掘をやってこなければならない。これまで東宝は才能の育成や発掘をやってこなかったのでチャレンジングですが、注目していただければ」とコメント。プロジェクトを統括する栢木琢也も「これは続けていくことが大事だと思っていて、覚悟をあらわす意味でVol.1と付けました。Vol.2を製作するべく、新たな才能を持ったクリエーターと企画開発を進めております」と意気込みを語った。
『GEMNIBUS vol.1』で上映される短編は『ゴジラVSメガロ』『knot』『ファーストライン』『フレイル』の4作品。中でも注目は1987年生まれ、2013年に白組に入社したCGディレクター・上西監督が手掛けた『ゴジラVSメガロ』だ。上西監督が脚本・監督・VFXを務めた短編『ゴジラVSガイガンレクス』はYouTubeで発表されるや再生回数1,000万回を突破。『ゴジラVSメガロ』は、それに続く一本として、昨年YouTube上で公開されたが、このたび「シネマティックバージョン」として、より精細となった迫真の映像と5.1ch音響によってパワーアップした。
プロジェクトのアンバサダーを務める上白石は「なんといっても息を飲んでしまうほどの臨場感。映像の技術も音響の技術も最先端のものが使われているので。『ゴジラ』の世界って現実世界では起こらないことだなと思って映像を観るんですけど、これはもう圧倒的な臨場感で、現実で起こるのではないかと思うくらい、映像を観ているということを超えて、自分がそばに立って風を感じて。逃げなきゃと思ってしまうような体験できる映像作品だなと思いました」と作品の魅力を語ると、上西監督も「やはりでっかい怪獣はでっかいスクリーンで観てほしいですね」と笑顔を見せた。
そして TikTok TOHO Film Festival2022でサードアイ賞を獲得した平瀬監督が手掛ける『knot』は、三浦貴大主演で親と子の血縁の結び(knot)をスタイリッシュな映像で映し出すサイコスリラー。さらに唯一のアニメ作品となる『ファーストライン』は、「平家物語」「薬屋のひとりごと」などで絵コンテ・演出を務め、最年少で「TOHO animation ミュージックフィルムズ」の監督に選ばれた、ちな監督がつむぐ青春アニメーター物語。
さらに、『MOTHER マザー』『君は放課後インソムニア』の奥平大兼を主演に迎えた『フレイル』は、第75回カンヌ国際映画祭「#TikTokShortFilm コンペティション」でグランプリを獲得した本木監督が、少子高齢化を背景に生み出したSF学園ゾンビ映画。一足先に鑑賞したという上白石は「ものすごく現代的なテーマを扱っている作品だと感じました。映画のいろんな要素がたくさん詰め込まれた映画だなと思いまして。キラキラした青春映画だったり、ゾンビという題材もそうですし、社会問題もそうですし、いろんなことを頭にめぐらせるような。そんな作品で。お年寄りがVRで青春を追体験するというお話なんですけど、観ていて年を重ねるってどういうことだろう、人が生きていくことってどういうことなんだろうと。入り口はポップなんですけど、そこからこの作品が持つ奥深さにどんどん惹かれていき、見入ってしまいました。ゾンビが人間にかみつく音などもリアルで。これを劇場で浴びたら恐ろしいだろうなと。早く劇場で体験したいなと思いました」と感想を述べた。(取材・文:壬生智裕)
「GEMNIBUS Vol.1」は6月28日よりTOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田にて2週間限定公開