堂本剛、27年ぶり映画単独主演『まる』10月公開決定 約2年間の熱烈オファー「自分が必要とされている役なら」
アーティスト・俳優の堂本剛が主演を務める新作映画『まる』が、2024年10月に公開されることが決定し、ティザービジュアル(全2種)と特報が公開された。堂本の映画単独主演は、『金田一少年の事件簿 上海魚人伝説』(1997)以来27年ぶり。監督・脚本は『かもめ食堂』『波紋』などの荻上直子で、堂本は荻上監督とプロデューサーから約2年間の熱烈オファーを受け、「自分が必要とされている役なら」と心を動かされて出演に至った。撮影はすでに終了しており、現在は仕上げ作業に入っている。
堂本が演じるのは、美大卒だがアートで身を立てられず、人気現代美術家のアシスタントをしている男・沢田。独立する気配もなければ、そんな気力さえも失って、言われたことを淡々とこなすことに慣れてしまっている。ある日、通勤途中に事故に遭い、腕の怪我が原因で職を失う。部屋に帰ると床には蟻が1匹。その蟻に導かれるように描いた◯(まる)を発端に、日常が◯に侵食され始める。
堂本は、人気デュオ KinKi Kids として活動しながら、役者として「金田一少年の事件簿」「Summer Snow」といった人気ドラマや、国分太一とW主演を務めた映画『ファンタスティポ』や実写版『銀魂』などに出演。今年4月からフィールドを変え、ソロプロジェクト「.ENDRECHERI.」としてライブツアーを開催するなど、独自の道を切り開く。これまで、自らストーリーを進めていく役柄の多かった堂本だったが、不思議な事態に巻き込まれていくキャラクターで、役者として新境地を魅せる。
特報では、日常が◯に浸食されはじめ、いつしか◯に囚われ始める沢田の様子が映し出される。最後には襲い掛かる奇妙な出来事に対して、「すごっ」とどこか他人事のような沢田の姿も垣間見える。
また、ティザービジュアルは、沢田が住む街を背景に撮り下ろした写真を使用し、巨大な◯に飲み込まれそうな沢田の上に、「ある日突然、◯が迫ってきた」という言葉が、微妙に歪んだ形で添えられている。さらに、キャラクターVer.では、沢田らしい虚無感のある表情がすぐ後ろに迫る◯と共に描かれている。手がけたのは、『ミッドサマー』といったA24作品の日本版ビジュアルを手がけるデザイナー・大島依提亜。グラフィカルで普遍的な〇の形を、日常的な実写風景や人物と組み合わせ、作品の不思議な世界観を表現した。
主演の堂本、荻上のコメント全文は以下の通り。(編集部・倉本拓弥)
堂本剛(沢田役)コメント
主演でお芝居させていただくのは久しぶりです。寝不足で誰のために何のために働いているのかも考えられない毎日を過ごしている主人公の沢田。だから顔色も良くはない、目の下にはクマ、顔の筋肉も動いていない。自分本来の心で人生を柔らかく生きて描きたいままに画を描くこと。これが叶えば良いだけなのに、人は自分を誰かと比べ、審査し、点数のようなものを付ける。孤独だということをそれこそ理解できずにそうしてしまう人も多いのだろう。孤独を感じていなければ人はそうならないだろう。頼んでもいないのに人は人の生き方や道にそうする事で我が身や我が心が安心するのだろう。ならばそれに付き合うこともまた人生か? と、沢田なりに人々の孤独に漂ってみている。きっと正しくないしもはや楽しくもない事はわかっているが、いらぬ優しさがそうさせてしまうのかも知れない。そんな沢田を演じるうえでいろいろを整えることをやめて崩すイメージで演じさせていただきました。
共演者の皆様がとても優しく接して下さいました。荻上監督をはじめスタッフの皆様も大変優しく接して下さいました。そのことがいちばん嬉しくて幸せでした。「人は人に優しく生きることができる」を叶え合い大切な一日を繰り返し完成した作品『まる』。
まるという言葉や文字を皆様はどう捉えてこの作品を楽しんでいただけるか興味深いところです。
劇中でもたくさんまるを描きました。細部に渡る隅々まで。たくさんたくさん描きました。世の中が平和を諦めずに平和を作ることへ時間や命を繋げてほしいと想いを込めて「。」
荻上直子(監督・脚本)コメント
撮影中の1か月間、純度の高い無色透明な塊、みたいなもののそばにいるような気持ちでした。もし彼のタマシイが見えたら、きっとそんな感じなのだろうと思う。混じり気のないどこまでもどこまでも透明な珠(たま)。