『Ultraman: Rising』スタイリッシュなウルトラマンに松本零士の影響 “美しさ”を求めたデザイン秘話
Netflix映画『Ultraman: Rising』の監督・脚本を務めたシャノン・ティンドルと、共同監督のジョン・アオシマがリモートインタビューに応じ、本作に登場するウルトラマンやオリジナル怪獣のデザインについて語った。
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『Ultraman: Rising』は、円谷プロダクションとNetflixが共同製作した長編アニメーション映画。本作に登場するウルトラマンは、手足が長いスタイリッシュなシルエットが特徴的だ。ウルトラマンシリーズに造詣が深いシャノン監督&ジョン監督は、シリーズ愛を惜しみなく注ぎ込みながらデザインを考えていった。
「私たちは、スーツアクターが入った実写のウルトラマンにオマージュを捧げました。ウルトラマンのカラーリングも私が大好きな赤&シルバーが基調です。デザイン面では、松本零士さんの漫画『キャプテン・ハーロック』『クイーン・エメラルダス』で見られる手足が長くて美しいプロポーションが大好きなので、その要素を本作にも採用できないかと考えました。アートディレクターのケイコ・ムラヤマさんにお願いして、松本さんの要素をいくつか組み込んでいただきました」(シャノン監督)
「一部のファンからは『鳥の足みたいに細すぎる』といった指摘の声もありますが、私たちはアニメーションでも宇宙人っぽさを追求したかったのです」と続けたシャノン監督。また、後頭部に見られる背ビレは「実写のスーツで背中のファスナーを隠すためにつけられた背ビレを再現しました」と明かしている。
ウルトラマンと共に物語の中心キャラクターとなるのが、赤ちゃん怪獣の“エミ”だ。アオシマ監督は「エミはシャノンのコンセプトを元に、最初にデザインした怪獣です」と説明すると、シャノン監督はここでも実写特撮をイメージしながらデザインしていったと補足する。
「怪獣のデザインは、いわばリバースエンジニアリング(逆行工学)の発想です。伝統的な特撮のデザインに立ち帰り、もしも幼児が怪獣のスーツに入ったら、どのようなプロポーションになるかを考えました。すると、どの動物にも当てはまる、ふくよかな体と大きな頭が思い浮かんだのです。そこから、やや水生動物のような鳥型の怪獣に仕上げていきました。赤ちゃんから成長すると全く違う見た目になる怪獣の一種です」
ちなみに、あわせて登場するジャイガントロンは「ウルトラマンティガ」に登場するメルバに似た怪獣だが、シャノン監督いわく、巨大な羽と長い首が特徴的なキングギドラの要素を取り入れたとのこと。「ほかにも、『眠れる森の美女』に登場するマレフィセントドラゴンのような、ディズニー映画っぽさも少し入っています」とも語っていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
Netflix映画『Ultraman: Rising』全世界独占配信中