松重豊監督、映画『孤独のグルメ』の俳優・松重豊を称賛「なかなかいい奴、ちゃんと芝居する」
俳優の松重豊が10日、都内で行われた「『孤独のグルメ』プロジェクト発表会見」に出席。2012年から12年間に渡り主演を務めたドラマシリーズ「孤独のグルメ」の映画版『劇映画 孤独のグルメ』で主演はもちろん、監督、脚本の三刀流を務める思いを語った。
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発表会見では、本作が『劇映画 孤独のグルメ』(2025年1月10日公開)として映画化され、松重自身が主演・監督・脚本を務めること、さらには今年の10月から多彩なキャストを主人公に迎え、オムニバス形式でつづるドラマ「それぞれの孤独のグルメ」が放送されることも発表された。
松重は、俳優として数々の作品に出演し、日本映画界にはなくてはならない存在だが「もともと俳優になる前に映画監督になりたかったことを40年ぶりに思い出しました」と語ると「僕のなかで、人前に出てなにかをするよりも、どこか演者を支える方が、メンタルが安定しているのかなと思っていた。今回の撮影も、スタッフと一緒にいろいろなところにロケに行きました。その時間はとても楽しかった」と振り返る。
さらに松重は「俳優だけだと(作品の)当事者になれなかったというさみしさを抱えることがあった」と胸の内を明かすと「この映画は最初から最後まで関わることができました。僕にとっては、とても大きな財産になりました」と感無量な表情を浮かべる。
自身が田口佳宏と共同で務めた脚本について「ラブストーリーを主軸にした大冒険もの」と明かすと「僕らの仕事は社会を照らす鏡。いまの日本から照らし出す内容を反映させました。一生に一度だけという思いのももと、やりたいことは全部盛り込みました。あの(松重が演じる)井之頭五郎がとんでもないことになっちゃうんだというのが面白いと思った」と本に込めた思いを語り「クランクインはパリのエッフェル塔をバックに『孤独のグルメ』のカットが撮れました」とスケールの大きさを強調していた。
今回は、自身の演技を自ら演出するという立場になった。松重は「普段、僕は自分が出演している作品はほとんど観ないので、自分がどんな役者なのかわかっていなかった」と笑うと「でも今回は嫌というほど自分の演技を見ました。なかなかいい奴ですね。ちゃんと芝居をするんですよ。だから編集も楽でした」と“俳優・松重豊”を称賛していた。
「この映画が当たらないと次はない」と語った松重。10月からスタートするドラマ「それぞれの孤独のグルメ」では20代の若手のディレクターも起用されているといい「テレビ業界は人材の流出、才能の損失が叫ばれていますが、なんとかしたい」と「孤独のグルメ」シリーズだけではなく、業界全体としても、本シリーズが何らかの起爆剤になることを祈っていた。(磯部正和)