「地面師たち」豊川悦司演じるハリソン山中がヤバすぎる…大根仁監督も絶賛のハマリ役とは
映像化困難と言われた小説家・新庄耕の同名クライムノベルを、綾野剛と豊川悦司のダブル主演で、大根仁監督が実写化したNetflixシリーズ「地面師たち」(Netflixにて世界独占配信中)で、地面師グループのリーダー・ハリソン山中を演じ、圧倒的な狂気を作り上げた豊川がその役作りを公式インタビューで明かした。(※ネタバレあり。以下、ドラマの内容に触れています)
本作は、不動産売買を餌に巨額の金を騙し取る詐欺師集団「地面師」による前代未聞の事件を描くクライムサスペンス。ハリソン率いる地面師グループのメンバーを、綾野、北村一輝、ピエール瀧、染谷将太、小池栄子が演じるほか、リリー・フランキー、池田エライザ、山本耕史らが共演する。
豊川が演じるハリソンは、地面師詐欺グループの首謀者で元暴力団幹部。過去に逮捕歴はあるが、指示役ゆえ、騙す相手と直接対峙することは少なく警察も足取りをつかめずにいる存在だ。また、地面師の仕事がない期間は、スリルとエクスタシーを感じられるハンティング(狩猟)に出かけることが多く、地面師詐欺にもスリルとエクスタシーを求めている、狂気に満ちたキャラクターだ。
この役柄について、豊川は「かなり面白い役をいただいたというか、とてもやりがいのある役だと思いました」と第一声。「ある種の得体の知れなさというか、詐欺師という枠に留まらない、悪役としての大きさみたいなものがあって」と語り、そのキャラクターを考えるうえで、サングラスを使う頻度を増やしたり、とびきり良いスーツに足元はカウボーイブーツを合わせるなど、自身のアイデアを盛り込んだという。
「人を踏みつぶすようなシーンとかもあったので、だったらそっちのほうがカッコいいんじゃないかと思って(笑)」と冗談めかしながらも「やっぱり、悪い役のほうが、演じていて面白いんですよ(笑)」と明かし、「自分の中でイメージを膨らませることができますし、ひとつひとつの台詞に対して、『何でこんなことを言うんだろう』って、いろいろと考える幅があって、すごく楽しい作業なんです」と役作りを語る。
脚本も担当する大根監督は、執筆の段階から豊川をイメージしていたそうで、その理由を「もう直感で、絶対合うだろうと思って」と初めて豊川を見た過去の作品での役柄からの刷り込みだと語る。「豊川悦司をナメるんじゃないよ、実はとんでもなくヤバいんだぞ!ということはずっと思っていて(笑)。なのでハリソンのような単なる詐欺師や知能犯ではない、人智を超えたような、マッドで多層で、全く底が見えないキャラクターは絶対合うだろうと」と明かす。
そうして出来上がった豊川演じるハリソンは、まさしく背筋が凍り付くような狂気と怖さを持つ。誰に対しても一見、丁寧な口調だが圧を感じさせ、表情は大きく変えないがその行動は突発的に変化する。次の瞬間何が起きるのか、画面を通じてもまさに一触即発の緊張感に包まれる。共演の小池も完成報告会で「ハリソンとは10秒以上目を合わせたらやられてしまうと感じるような圧倒的な支配力があった。役者人生で経験したことのないような恐怖を感じた」と語っており、これぞ“ハマリ役”というキャラクターが誕生している。(高橋理久)