『エイリアン:ロムルス』キャスト、チェストバスター登場シーンは演出知らずに撮影していた
巨匠リドリー・スコット監督が手がけたSF映画『エイリアン』(1979)で、多く人々にトラウマを植え付けたエイリアン第三形態・チェストバスター。原点回帰の最新作『エイリアン:ロムルス』(9月6日全国公開)では、人形を遠隔操作する「パペティアリング」を駆使して製作され、キャストには登場演出を知らせず撮影されたという。主要キャストのイザベラ・メルセド(ケイ役)が証言した。
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チェストバスターはその名の通り、寄生主である人間の胸部を突き破って登場するゼノモーフの幼体。1作目の撮影時、チェストバスターがいかにして登場するのかキャスト陣に隠したまま、彼らのリアルな反応をカメラに収めた逸話は有名だ。
公開済みの予告編には、宇宙ステーション「ロムルス」にやってきた若者の一人・ナヴァロ(アイリーン・ウー)の体内でチェストバスターが暴れているシーンが収録されている。アイリーンとシーンを共にしたイザベラは、「私はそのシーンにいましたが、それ(チェストバスターの登場)がどうなるのか知りませんでした」と演出は完全サプライズだったことを告白。「チェストバスターがアイリーンの胸を破って出てくる偽物の体を作るために、彼女の体の型取りをしたとき、私はその場にいませんでした。だから、私はそのシーンをリアルタイムで見たんです」と続ける。
イザベラ曰く、チェストバスターのパペットは9人のスタッフによって操作されていたとのこと。「黒いドロドロしたものがその頭の中に現れるんです。それが半透明の皮膚全体に広がって、最終的にそれ(体)が黒くなるんです。とてもクールなんです。それから血しぶきが出て、そこら中に飛び散るんです。血しぶきは私の口に入りましたし、髪にもつきました。口や鼻にも入りました」と生々しさを表現した。
「私たちはそれを何回かやったんです。彼らが選ぶテイクは、血しぶきが最もよく飛び散るものじゃないといけませんでした。だから(血しぶきの)パターンがとても重要だったんです。そして、その後のシーンをやるたびに(顔や服についた血がそのテイクとマッチするように)ひとつひとつの小さな血を一致させなければなりませんでした」
メガホンを取ったフェデ・アルバレス監督は、アイリーンの身体のレプリカを2バージョン製作したと証言。1作目でチェストバスターの犠牲者となったジョン・ハート(ノストロモ号のクルー・ケイン役)と同様のやり方で撮影を行った。
「チェストバスターの小さいバージョンを用意し、彼女(アイリーン)のサイズに合うようにしました。それから、歯や血など細部までよく見えるクリーチャーのクローズアップ用に少し大きなバージョンも用意しました」と続けたアルバレス監督。最新作では、エイリアンの皮膚の色素が変化する新たな演出にも挑戦しており「クリーチャーのドームに黒いインクを注入するというアイデアを思いつきました。そのシーンでは、クリーチャーが黒くなり始め、色素沈着がクリーチャーを覆っていくのがわかるんです。だから製作には多くの複雑なレイヤー(要素)がありました。多くの人と時間が必要でした」と振り返っている。(編集部・倉本拓弥)