【ネタバレ】『エイリアン:ロムルス』なぜあの人物が?衝撃サプライズの裏側
SF映画の金字塔『エイリアン』シリーズ最新作『エイリアン:ロムルス』(全国公開中)は、巨匠リドリー・スコット監督が手がけた1作目の“その後”を描く物語だ。オリジナル版に敬意を払って製作された本作には、シリーズファンを喜ばせるとある人物が登場している。メガホンを取ったフェデ・アルバレス監督が、Entertainment Weekly でサプライズの裏話を語っている。(以下、映画のネタバレを含みます。鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします)
『エイリアン:ロムルス』の舞台は、廃墟と化した宇宙ステーション“ロムルス”。採掘植民地で働く主人公レイン(ケイリー・スピーニー)ら6人の若者が、人生の再起をかけてロムルスに足を踏み入れるも、そこには想像を絶する悪夢が待ち受けていた。
ロムルスはエイリアンを研究する施設であり、レインたちは崩壊した研究室で「ルーク」と呼ばれる半壊のアンドロイドに遭遇する。その見た目は、『エイリアン』1作目でノストロモ号に搭乗していたアンドロイド・アッシュにそっくりで、2020年にこの世を去った故イアン・ホルムさんがアニマトロニクスで忠実に再現されている。
『エイリアン』シリーズではアッシュをはじめ、ビショップ、デヴィッド、ウォルターといったアンドロイドたちが物語に深く関わってきた。歴代アンドロイドを演じたランス・ヘンリクセンさんやマイケル・ファスベンダーさんは、シリーズ作品に連続して出演しており、アルバレス監督は「リドリーとも話をして、今まで戻ってきたことのない人が(復活に)最適だと思いました」とイアンさん登場の背景を明かす。
亡くなった俳優をAIで復活させるには、遺族の許可を得ることが必要だ。アルバレス監督は、すぐにイアンさんの遺族にコンタクトを取ったといい「(イアンさんの妻)ソフィーは私たちのアイデアにとても興奮していました」と了承を得て、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)に契約金を支払い、アニマトロニクスの制作に取りかかった。
Varietyによると、VFXチームは映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでビルボ・バギンズを演じていた時に制作されたイアンさんの人形から耳や鼻のデータを収集し、『エイリアン』1作目の4K映像をスキャンして彼の表情を作っていった。ルークの音声は、『フューリー』(2014)などで知られるイギリス人俳優ダニエル・ベッツさんに依頼し、セリフを吹き込んでもらっている。
ルークとしてイアンさんを復活させたアルバレス監督は、仕上がり具合を見てもらうため、遺族に連絡したそうで「とてもエモーショナルな会話でした」と回顧。「彼らがイアンさんを失った同時期に、私も父を亡くしました。彼らの痛みに共感することができましたし、同時に再び彼を映画で観られる楽しみも理解できました。私たちが成し遂げたこと、彼らとの作業にとても誇りを感じていますし、みなさんにも、1作目の人気キャラクターを目撃して驚いてほしいです」と力を込めた。(編集部・倉本拓弥)