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実写『ゴールデンカムイ』映画版が“これから”で終わった理由 WOWOWとのタッグで挑む完璧な映像化

杉元佐一とアシリパの物語はこれから「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」
杉元佐一とアシリパの物語はこれから「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」 - (C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

 野田サトルの人気漫画を山崎賢人(崎はたつさき)主演で実写化した「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」の放送・配信が10月6日からスタート。今年1月に劇場公開された映画の続編は、なぜ全9話のドラマシリーズとなったのか。できる限り“最適な形”による映像化に挑んだという松橋真三プロデューサー(クレデウス)と植田春菜プロデューサー(WOWOW)が、その理由を明かした。

【画像】ドラマも驚異の再現度「ゴールデンカムイ」キャストたち

“おいしいところだけ”では失敗する

 明治時代末期、広大な北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金をめぐる壮絶な戦いを描く本作。北海道の豊かな自然、アイヌ文化、歴史的な要素が融合した独自の世界観のなか、一癖も二癖もある個性的なキャラクターが次々に登場する壮大なストーリーは、原作コミック全31巻分にも及ぶ。

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 原作の映像化をめぐっても争奪戦が繰り広げられたという本作。植田とタッグを組み、コンペティションを勝ちぬいた松橋は「原作権のコンペにあたって私たちが提案したのが、原作をいきなり一本の映画にまとめるようなことをせず、とにかく丁寧に作りたいということでした。その考えが、まず第1弾として映画があり、ドラマのファーストシーズンに続くという構成につながったんです」

 アクの強い個性的なキャラクターが次々と登場する本作だが、映画は、山崎演じる日露戦争帰りの元兵士・杉元佐一の物語にフォーカス。原作コミックにおいて、冒頭ともいえる物語を丁寧に映像化するという、製作陣のこだわりが反映されている。

杉元の物語こそ「壮大なシリーズのはじまりにふさわしい」(C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

 「映画を観た皆さんのなかには、原作でいえばまだまだ物語の序章のように感じられた方も多かったかもしれません。でも私たちは、『ゴールデンカムイ』は杉元の物語であり、彼の物語を深くしっかりと描くことが、この壮大なシリーズのはじまりにふさわしいと判断しました。観客の皆さんに、まだ(物語は)これからだけど、深い内容だったと思っていただけたのではないでしょうか。もし、原作のおいしいところだけをつまむような作り方をしていたら、それこそ、面白くない映画になってしまったと思うんです」

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ドラマが意味する新しい時代

(C)野田サトル/集英社 (C)2024 WOWOW

 ただ、原作を大切にしても、ヒットするかは公開するまでわからない。それでもWOWOWがドラマ製作に踏み切った理由を、植田は「映画がヒットしたから続編をやろうという判断では、どうしても次の作品まで時間が空いてしまいます。せっかく世間が盛り上がっているのに、続きを楽しみにしている皆さんにすぐお届けできないのは違うだろうということで、WOWOWとしても腹を決めて、松橋さんのプランニングに沿っていこうという機運があったのは確かです」と明かす。

 壮大な原作の要素を一本の映画で“つまみ食い”せず、ドラマシリーズとして丁寧に描く試み。松橋が率いる制作会社クレデウスは、かわぐちかいじの大ヒット漫画を実写化した『沈黙の艦隊』も、劇場公開後に全8話の完全版として Prime Video で配信。同作はすでに続編制作が決定しており、『ゴールデンカムイ』もまた、ドラマに続く続編映画を構想中。“最高のクライマックス”に辿り着くまで、さらなる展開も期待される。

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 松橋は、この新たな試みの発想を、今や映画興行を牽引するアニメから得たと語る。「日本の映画興行全体に目を向けると、今はハリウッド映画ではなく、アニメが牽引していますよね。なぜかというと、アニメの制作者の皆さんが、物語全体を深く描いていくうえで、時にはシリーズで、時には映画で……というふうに、作り分けてきた点にあると思っているんです」

 「観客の皆さんも、そうした見方に慣れているので、実写もそうやってアプローチをするべきなんじゃないかと常々考えていた。だから『ゴールデンカムイ』も、面白いところだけをつまむのではなく、物語全体を分けたうえで、このパートは映画で、ここはドラマで……というふうに、全体像に合わせたプランをしっかりと考えて、皆さんにお見せしていくことが大事だと考えています」

日本勢の奮闘を見せたい

 WOWOWとのタッグによって、地上波の枠にとらわれない、より原作を重視した体制も実現できた。「例えば、地上波だったら起こりえる“最低何話は作ってください”とか、“全部で12話はほしいです”といったことがWOWOWではありません。今回の連続ドラマも、最初からエピソード数が決まっていたのではなく、物語を展開する上で必要なのが9話だったんです。もしそこを型にはめるようなことをすれば、きっと違う実写化になってしまうでしょう」という松橋。

 植田も「WOWOWが製作しているドラマは、決められた枠よりも、一番面白い方法を大事にして作るというスタイルです。(地上波のように)クール制ではないので話数も基本的には自由ですし、各エピソードの尺もぜんぜん違います。最低何分以上、何分以内という大まかな決まりはありますが、その範囲内であれば自由なんです」と語る。

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 その言葉に「最初から決まった枠を埋めていくのではなく、純粋に面白い作品を作るためにどれくらいの尺が必要なのかも判断していく、これからは、そういう時代になっていくと思います」という松橋は、「結局、時間とお金というのは作品のクオリティーに直結するので、資金を投下し、かつ時間をかけられるっていうことはとても大事です。そういう意味でもWOWOWさんは『ゴールデンカムイ』を映像化するうえで、最適なパートナーだと思います。“大至急作ってください”みたいなこともないですしね」と笑顔。

 もちろん、ドラマのクオリティーも映画並みだ。植田は「自分たちで言うのもなんですが、仕上げ段階から感激してしまうほどの完成度だったので驚きました。WOWOWでは、いつもドラマの第1話を無料放送しているのですが、これが無料で見られるのはすごいなと、それくらいのものに仕上がっているので、ぜひ楽しみにしていただきたいです」と自信を見せる。

 そのうえで、「それこそ、Netflixがやっているようなことを、WOWOWさんもずっと以前からやってきているんですよね」と語った松橋は「やはり、Netflixや Prime Video のような外資だけではなく、日本勢が頑張らなきゃいけないという思いもあります。そう言いながら、私もどちらの会社でも作品をやっているわけですが(笑)。今回は、その経験もフィードバックしていきたという思いもありますね」と本作に込めた思いを語った。(編集部・入倉功一)

「連続ドラマW ゴールデンカムイ -北海道刺青囚人争奪編-」WOWOWで10月6日(日)午後10時より独占放送・配信開始(全9話)第1話は無料放送・配信

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