Netflix版「機動戦士ガンダム」監督がドイツから来日!「子供の頃からガンプラで遊び育った」
新作オリジナルアニメーションとなるNetflixシリーズ「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」のトークイベント付き特別先行上映会が12日にTOHOシネマズ六本木で行われ、エラスマス・ブロスダウ監督が出席し、ガンダムシリーズ初の外国人監督として本作を制作した思いを語った。この日はアニメーションプロデューサー・音響監督の由良浩明、プロデューサーの彌富健一も出席した。なお、登壇予定だった声優の森なな子は体調不良で欠席となった。
本作は、ガンダムシリーズ第1作目「機動戦士ガンダム」(1979)の舞台となる一年戦争中のヨーロッパ戦線にフォーカスしたCGアニメーション。3D制作ツール Unreal Engine 5(アンリアル・エンジン5)を使用した、全6エピソード(30分×6話)の物語となる。この日の先行上映会では1話から3話を上映。ブロスダウ監督は「ドイツから来ました。ガンダムシリーズで初の外国人監督ですが、子供の頃からガンプラで遊び育ったというのは、皆さまと何も変わりません。今日はいろいろなガンダムの話ができるよう、よろしくお願いします」とあいさつ。さらに「本編はいかがでしたか?」という司会者からの問い掛けに客席からは大きな拍手。その反響にブロスダウ監督は「とても光栄。楽しんでいただけたら」と感慨深げだった。
「機動戦士ガンダム」という日本の国民的アニメーションを手掛けることについては「へっちゃらでした」と冗談めかしたブロスダウ監督。「もちろん監督として、ものすごくプレッシャーはありましたが、それよりも自分が信じている表現を絵に表すことに集中したので。日本のIPではありますが、自分らしさを出すことを心がけました」
ブロスダウ監督自身、大の日本好きとのことで、「自分はドイツで育ったんですが、小さい頃からたくさんの日本のメディアに触れてきたので、自分にとっては日本はいつも身近にありました。毎週、日本のドキュメンタリーを観ていたし、日本の建築にも興味があります。だから今回、ガンダムの監督をするなんて、信じがたいこと」だという。
本作で大変だったこととして「コミュニケーション」と明かしたブロスダウ監督は、「やはりいろいろな国の人たちが参加して制作したので、細かいニュアンスが伝わらなかったりして。それを合わせるのが大変でした」と述懐。さらに由良プロデューサーが「今回はメインの言語が英語なんですよね、やはり英語のニュアンスで、まず考えないといけないということ。やはり英語にもいろんな英語がありますし、いろんな国の人たちが英語をしゃべるので、それに対して、今までの日本のガンダムというのをどう英語に直すか、というのは非常に難しかった」と続けると、彌富プロデューサーも「振り返れば3年半というのはあっという間なんですが、実は製作中はかなり大変で。本当に完成するのかなというところもあって。とにかくスケジュールを守るのが大変でした」と付け加えた。
そんなブロスダウ監督が本作で打ち出したのは、「今までのガンダムと違って、明らかにガンダムは敵だという印象を与えること」だったという。また3D制作ツール Unreal Engine 5(アンリアル・エンジン5)を使用したことについて、「一番のチャレンジはクオリティーを担保すること。Unreal Engine 5 でこれだけのクオリティーの映像を、これだけの長尺でつくり出すのは本当に大変で。思わぬエラーとか、バグとかにも苦労しましたね」と明かすと、彌富プロデューサーも「リテイクの時に、ある箇所を修正すると、そのカットの別のところが壊れてしまうことがあって。Unreal Engine 5 の特性上、修正には苦労しました」と大変だったという作業の裏側について明かした。(取材・文:壬生智裕)
Netflixシリーズ「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」は10月17日より配信開始