永野芽郁&佐藤健、6年ぶり共演も変わらぬ信頼感 細胞たちの中にいても「すぐ見つけられます」
映画『はたらく細胞』(12月13日全国公開)でダブル主演を務める赤血球役の永野芽郁と白血球[好中球]役の佐藤健。NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い。」以来、実に6年ぶりの共演となった二人が、ブランクを感じさせない息の合ったコンビネーションで、本作への意気込みやお互いの変化について語った。(取材・文:坂田正樹)
本作は、人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、シリーズ累計発行部数1,000万部を超える大ヒットを記録した漫画「はたらく細胞」(清水茜・講談社「月刊少年シリウス」所載)を、『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』シリーズの武内英樹監督が豪華キャストで実写映画化した体内アクションアドベンチャー大作。芦田愛菜、阿部サダヲの「マルモのおきて」コンビが演じる人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を軸とする人間世界のドラマを並行しながら活写する。
原作にどこまで近づけるか
Q:永野さんは初々しい新人赤血球、佐藤さんは悪を蹴散らす熱血白血球という役どころ。オファーを受けたときの率直な気持ちを擬音、またはひと言で表してください。
永野:最初に聞いたときは「え!赤血球!?」みたいな感じでした(笑)。わたしが赤血球役って……まったく意味がわからなくて、驚きが大きかったですね。
佐藤:僕は「ビビビッ!」でしたね(笑)。白血球っていう役もそうだし、大人気漫画の映像化ということもあって、これはもう本当に「ビビビッ! 待ってました!!」という感じでした。
Q:佐藤さんは原作漫画を読まれていたんですか?
佐藤:もちろん漫画の存在は知っていましたが、ちゃんと読めば読むほど、「この役は自分がやりたい、譲りたくない」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。それに、われながら漫画の(白血球の)顔と似ているなと。だからまぁ、(アクションなども含め)いろんな意味で演じ切る自信はありました。
永野:確かに! お顔が真っ白っていうのもあるんですが、(健さんと同じように)目の印象が強いんですよね。
Q:永野さんは原作漫画に初めて触れて、イメージがつかめたという感じでしたか?
永野:赤血球役のオファーを受けたあとに、「はたらく細胞」の映像化であることを知らされたんですが、わたしも原作漫画の存在は知っていたので、なるほど人間の体内を(擬人化して)描くということかと。そこから原作を読んだり、アニメーションを観たりして、少しずつ実感が湧いていった感じですね。
Q:役づくりについてはいかがでしたか?それぞれどのような思考をめぐらせ、キャラクターにアプローチしていったのでしょう。
佐藤:原作漫画とアニメ作品があるので、すでに明確なイメージが出来上がっているじゃないですか。だから、「そこに自分がどう近づけていけるか」ということが大きな道標になりました。その上で、白血球という役柄がこの作品においてどういう役割なのかを自分なりに考えたんですが、それぞれの細胞、特に白血球は、誰かを守るために働いているキャラクター、つまり「ヒーローもの」とすごく通じるものがあるんじゃないかと。世界最小の戦隊ヒーローを演じるチャンスだと思いました。
Q:世界最小のヒーローという解釈は面白いですね。永野さんはいかがでしたか?
永野:細胞役ではあるけれど、現実世界の人間を演じてるときと大きな差はないので、わたしも原作漫画やアニメ作品からいろんなヒントをいただきながら、いつも通りのやり方で役に近づけていくという感じでした。
Q:武内監督が「何が正解かわからないけれど完璧な赤血球だった」とおっしゃっていました。
永野:嬉しいです! わたしも正解がわからなかったので、撮影の合間も漫画やアニメを観ながら勉強していたんですが、「どうしたら皆さんが想像する赤血球に近づけるのかな」というのはつねに研究していたので、武内監督にそう言っていただけるととても心強いです。
Q:常に研究していたということですが、実際にどのようにアプローチをしていったのでしょう。
永野:この映画は、赤血球が一人? の細胞として成長していく物語でもあると思うので、 そういった意味では、感覚的には人間が成長していくならこういう感じなのかなという心持ちで演じました。
Q:観ていると応援したくなるんですよね。佐藤さんは永野さんの赤血球ぶりはいかがでしたか?
佐藤:「愛され力」みたいなものが「ヒロイン力」と呼ぶとするなら、やっぱり永野さんは、最高のキャスティングでしたね。この役は僕たちの集大成だなって思います。
Q:永野さんは佐藤さんの白血球ぶり、いかがでしたか?
永野:かっこ良すぎますよね。細胞たちに恋愛感情がもしあったとしたら、好きになっちゃうと思います。たぶん、劇場で映画を観てくださる皆さんは、白血球さんにキュンキュンしてしまうと思います。
本格アクションとエキストラに囲まれた舞台裏
Q:『るろうに剣心』の緋村抜刀斎を彷彿させる佐藤さんのアクションが圧巻でした。同作のスタントコーディネーターを担当していた大内貴仁さんを呼んでまで構築したかった今回のアクションについてお聞かせください。
佐藤:アクションを本格的にやらないんだったら、僕がやる意味がないし、やる必要もないと思っていました。漫画を実写化するときの「意義」みたいなものを考えたとき、特に本作は肉体を使ったアクションというのはとても重要な要素。漫画にもアニメにもできない表現を実写だったらここまでできる、というところもあると思ったので、そういった意味でも、物語が進んでくなかで、アクションシーンになった途端に空気が一変し、本格バトルが展開した方が映画としても面白いと思ったんです。アクション監督として大内さんを迎えることを僕が出演する大きな条件にしたのもそのためです。
Q:『るろうに剣心』をよりパワーアップしたアクションにワクワクしました。
佐藤:戦っていても、勝敗がつくのをただ「待つ」だけの時間ならアクションなんて1秒もいらないんですよね。体内だからできる、観たこともないようなアイデアを贅沢に詰め込んだアクションシーンにしてこそ意義があると思ったので、ワイヤーの使い方とか、引き出しをたくさん持っている大内さんを信頼して、 僕の熱い思いを全力で伝えさせていただきました。
Q:永野さんは総勢約7,500人を要した大規模撮影で、あまりにも人数が多すぎて迷子になったそうですね。
永野:そんなこともありましたね。ロケで地方へ行くたびにエキストラの方がたくさん参加してくださったので、毎回現場に行くと細胞さんたちであふれていてすごく面白かったです。迷子といえば、白血球の健さん、わたしはすぐ見つけられましたよ。
佐藤:白血球は赤血球以上にビジュアルがみんな一緒なんですが、よくわかりましたね。武内監督は見つけられなかった。コツがあるんですか?
永野:なぜか健さんはわかるんですよね。これ、特技かもしれないです(笑)
佐藤:わかった、じゃあ、ちょっと企画でやりましょう。「ウォーリーをさがせ!」みたいな、白血球の佐藤健を見つける企画(笑)
永野:やりましょう、絶対わたしが一番に見つけられると思います!
「半分、青い。」から6年、居心地の良さは変わらない
Q:(NHK連続テレビ小説)「半分、青い。」以来、6年ぶりの共演となりましたが、久々の共演でお互いに成長や変化を感じたところはありますか?
佐藤:永野さんは昔から現場では堂々としていたので、そういったところは変わらないんですが、「主役」として、「座長」としての居方みたいなものが自然と染みついてきて、気づかないうちに周りの人たちの士気を上げているところは成長を感じましたね。ただお芝居をするだけじゃない、それ以外のところ。なんというか座長としてのあり方みたいなものがすごく増してたような気がしました。
永野:すごく褒めて頂いて嬉しいです!
Q:永野さんはいかがですか? 久々に佐藤さんと共演してみて変化はありましたか?
佐藤:僕はさすがに変わらないんじゃないかな?「半分、青い。」のとき、永野さんは20歳?
永野: 18歳ですよ! 現場でずっと一緒に居たじゃないですか!
佐藤:18歳かぁ……で、『はたらく細胞』が23歳くらいでしょ? その年代は人が一番いろいろ変わっていく時期ですよね。僕は「半分、青い。」のときはもう29歳だったので、あまり変わっていないと思います。
永野:確かに頼もしさと安心感はあの時から変わらなかったですね。居心地の良さは本読みのときからありました。
Q:座長のお二人がお互いに居心地が良かったっていうのは、健康的でいいですよね。健康といえば『はたらく細胞』、最後はこの話で締めましょうか。それぞれ今一番気になる体のこと、あるいは気をつけたいと思っていることはありますか?
永野:わたしはシンプルに体調不良です。特に季節の変わり目は要注意なので、今だったら温かいものを食べて、「免疫よ、上がれ!」って自己暗示をかけます(笑)
佐藤:僕はやっぱり、乾燥が一番気になりますね。撮影現場って空気がカラカラになるので、加湿器を設置して体調管理するように心がけています。これから冬に向かってより乾燥しやすくなるので、皆さんもお気をつけてください。
映画『はたらく細胞』は12月13日より全国公開