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「べらぼう」で大河初出演の鉄拳、1か月浮世絵猛練習 ノーメイクに現場ではスタッフに気づかれず…

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」より鉄拳演じる絵師・礒田湖龍斎
「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」より鉄拳演じる絵師・礒田湖龍斎 - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほかで放送中)に出演するお笑い芸人、パラパラ漫画家の鉄拳。演じるのは、江戸時代中期に活躍したとされる絵師の礒田湖龍斎(いそだ・こりゅうさい)。自身にとって大河ドラマへの出演は初、テレビドラマへの出演は「海の上の診療所」(2013年・倉科岳文名義)以来、約12年ぶりとなる。「礒田湖龍斎が絵師であることも、何か縁があるのかなと思いました」という鉄拳が、撮影に挑んだ心境を語った。

【画像】「べらぼう」で鉄拳がノーメイク!

 大河ドラマ第64作となる本作は、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴、東洲斎写楽らを世に送り出し“江戸の出版王”に成り上がる蔦屋重三郎(横浜)を主人公にしたストーリー。脚本を、大河ドラマ「おんな城主 直虎」、ドラマ「大奥」シリーズなどの森下佳子が務める。

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 鉄拳演じる礒田湖龍斎が登場するのは、26日放送の第4回。蔦重(横浜)が地本問屋の西村屋(西村まさ彦)と共に、呉服屋とタイアップした錦絵の制作に着手し、湖龍斎は錦絵を依頼される絵師という設定だ。2013年に出演したフジテレビ系ドラマ「海の上の診療所」と同様、トレードマークである白塗りのメイクなしに素顔での出演となるが、素顔を出すことに抵抗はないとのこと。「そもそもメイクをするようになったのは、お笑い芸人になることが父親にバレたくなかったから。だけど、もう父にはバレているし、近所の人にも知られているので(笑)」と言い、父親に大河ドラマへの出演を報告した際には「結構照れてましたね。ちょっと半信半疑の様子でしたけど本当は喜んでると思います」とも。

 映像で扮装姿の自身を見たときの心境を「自分でもびっくりしました(笑)。こんな渋い、ベテランの雰囲気を出しているんだと。演じているときは緊張して震えていましたが。映像ではちょっと照れている感じが出てましたね(笑)」と語る鉄拳。なお、カツラをつけたのが初めてだったそうで「カツラに締め付けられる感じがあって痛かったですね。あらかじめスタッフの方に“痛いですから我慢してください”と言われていたので我慢しました(笑)」との裏話も。

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 また、撮影現場での反応をこう振り返る。「“えー!”って驚かれると思ったんですけど僕が現場に入っても、スタッフの皆さん半信半疑の顔をされていて。反応がないので“あれ、人気ないな~”と思っていたら、セリフを言った途端に笑いが起きました。なのでそのときに初めて“あ、鉄拳だったんだ”と認識されたんじゃないですかね(笑)」

 演じるのは、くしくも絵師。鉄拳と言えばパラパラ漫画が人気で、2012年にバラエティー番組内で発表した「振り子」は猛反響を呼び実写映画化もされ、今日に至るまで主な仕事となっている。「べらぼう」の出演発表時には浮世絵を練習中であることをコメントで寄せていたが、「演じることは考えてなかったです。とにかく僕に与えられた仕事は、うまく浮世絵を描くことだと。僕は滑舌も悪いし、セリフもうまくないし、僕にお声がけいただいたのは絵を描けたことだったと思うので、絵を描けなかったら呼ばれた意味がない。“演技なんか見てもらわなくてもいい”というつもりぐらいで必死に絵の練習をしました」

 実際、レギュラーの仕事に加え、ドラマのために自宅で1か月、毎回4時間ほど練習を重ねたといい、絵を描くシーンの手元は吹き替えなしで使用されることとなった。

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 「浮世絵師の先生のご指導のもと練習したんですけど、 普段使っているのがボールペンとかフェルトペンで、筆で描くのは初めてだったんです。描いてみたらあまりに下手でびっくりして。そこから急いで自宅で練習するようになりました。筆ってちょっと力を入れると線がすごく太くなってしまって、細く描くのが難しい。強弱が難しくて、描くというよりも載せる感じで描かなければならないのでとっても大変でした」と振り返る。

 浮世絵を描くのはとても楽しかったと充実した表情を見せる鉄拳。「江戸時代に絵を描いて仕事にしていた人がいたように、僕もパラパラ漫画っていう特殊な分野に挑んで仕事にさせてもらっているので、今回お話をいただいたときには何か縁があるんだなと思いました。だから湖龍斎さんには勝手にシンパシーを感じていますが、もうちょっと有名になっていたらよかったんですけどね。浮世絵と言うと、葛飾北斎さん、喜多川歌麿さんなどが有名。だけど湖龍斎さんは彼らより前に活躍されていた方なので、蔦重にとっては漫画で言ったら手塚治虫先生のような存在なのではないかと。北斎さんや歌麿さんに比べると湖龍斎さんはマニアックなので、浮世絵の先生も“ドラマで湖龍斎さんが登場するのはこれが最初で最後なんじゃないか”とおっしゃっていました。なのでもっと湖龍斎さんが広く知られるようになってほしいですし、また別の作品で登場したときには僕を呼んでいただきたい。願わくば“湖龍斎といえば鉄拳”となればうれしいですね」

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 なお、前年放送された大河ドラマ「光る君へ」には鉄拳と親交の深いお笑い芸人、漫画家の矢部太郎が出演。撮影前に矢部にアドバイスをお願いしたというが……。

 「矢部くんと仲がよくてたまにご飯を食べたりするんですけど“もしNG出したらどうすればいいですか”って聞いたら、“NGなんて出しちゃダメなんです!”って言われました(笑)。“皆ちゃんと準備してくるので本番ではNGを出さない”と。逆にプレッシャーになって、“もう絶対に失敗しちゃいけないな”って思って必死にやりました。実際、NGは出さなかったですが、思ったように絵を描けなかったので“もう1回お願いします”と僕からお願いして、2、3回描かせてもらいました」とプレッシャーとの戦いを思い返していた。(編集部・石井百合子)

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