新プロジェクトX『ゴジラ-1.0』快挙の舞台裏に迫る「ゴジラ、アカデミー賞を喰う」放送決定

　NHKのドキュメンタリー番組「新プロジェクトX～挑戦者たち」が、映画『ゴジラ-1.0』制作の舞台裏に迫る「ゴジラ、アカデミー賞を喰う～VFXに人生をかけた精鋭たち～」を2月1日（総合・夜7時30分～8時15分）に放送することが明らかになった。

【画像】絶望しかない…戦後日本を破壊するゴジラ『ゴジラ-1.0』場面写真

　山崎貴監督が、脚本、VFXを兼任した本作は、2024年の第96回アカデミー賞において、邦画・アジア映画史上初となる視覚効果賞を受賞する快挙を達成。一般的に1,000人規模の人員がVFXに投入されるハリウッド大作に比べて、“山崎組”は35人。「目指してはならない聖域」とされてきた視覚効果賞を、いかにして山崎監督たちは勝ち取ったのか。快挙達成の裏にあった戦いを追う。

　1970年代、スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』（1977）に衝撃を受けた少年時代の山崎監督。「本当はUFOを撮ったんじゃないかって思うぐらいリアルだった。なんとしてもこの仕事に就くしかないってすごく思って」という山崎監督は、日本でいち早くVFXを手がけていたスタジオに入社するも、厳しい現実に直面。「ハリウッドの20年遅れ」と言われる状況の中、日本ではまだほとんど使われていなかったソフトを独学で習得した。

　そこに現れたのが、豪腕プロデューサーとしても知られた阿部秀司さん。細部までこだわるその存在が、戦後の東京の町並みを精緻に作り上げ、山崎監督の出世作となった『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの大ヒットへとつながっていく。

　それでも遠いハリウッドの背中を追う山崎監督たちのとった作戦が、SNSでのスカウト。そして出会ったのが、YouTubeなどでVFXを学び山崎作品のパロディを制作していた10代の学生や、“ひとりハリウッド”と業界で有名だった天才たち。その精鋭たちと始めた映画『ゴジラ-1.0』への挑戦。VFXの世界ではタブー視されてきた“海”の描写への挑戦、低予算・少人数を逆手にとったトライアンドエラー速度のアップ、製作の先にあったある人物との別れ。アメリカで日本の実写映画史上、最高の興行収入を記録し、巨匠スピルバーグに「3回観た」と言わしめた成功の裏にあった物語を追う。

　スタジオには、山崎監督と20代のクリエイターが登場。インタビュー内で山崎監督は、アカデミー賞の評価に「一番大きいのは、僕らが楽しみつつ苦しみつつ一生懸命やってるっていう感じが、きっとVFXの黎明期に手作りで作ってた頃に似てたんじゃないかなって思うんですよね。クオリティーの高いVFXがいっぱい並んでいる中で、そのことに思わず票を入れてくれたんじゃないかなっていうふうに。どっちかっていうと、もっと頑張れって、おまえたちが一生懸命やってるのは分かったから、もっとすげえものを作れっていう賞じゃないかなっていうふうに、僕は思ってます」と言及。

　また、若い仲間たちとの映画作りについても「どんどん天才が増えてきてるんで、ありがたいことです。僕、技術的に自分よりうまくできる人じゃないと、仕事したくないんで。自分でやったほうが早いから、そしたら自分でやりたくなっちゃう。でも、俺がやるより絶対うまいよなっていうレベルの人たちがそろってきてるんで、大変いいですね。まさかこの年になっていろんな扉がばたばた開いて、挑戦することになるとは思ってなかったんで、まだこんな展開があったのかっていうので、楽しみです、これから」などと語っている。（編集部・入倉功一）