溝端淳平、キャプテン・アメリカを継承する覚悟と責任 サム役声優11年「一から作っていく思いで」

映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)から、11年にわたりマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)でサム・ウィルソン/ファルコン(アンソニー・マッキー)の日本版声優を担当してきた溝端淳平。劇場公開最新作『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』では、新キャプテン・アメリカに就任したサムが、満を持してスクリーンに登場する。“声優”としてキャプテン・アメリカの名を継承する溝端が、その責任と覚悟、11年経っても変わらぬサムの魅力を語った。
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新キャプテン・アメリカ就任「ついに来た」

キャプテン・アメリカは、第2次世界大戦中の極秘実験で超人血清を投与されたスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)が名乗っていた伝説のスーパーヒーロー。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)で最強の敵・サノスを倒したスティーブは、キャプテン・アメリカの盾を友人であるサムに託し、第一線から退いた。『ブレイブ・ニュー・ワールド』では、スティーブの意思を引き継いだサムが、さまざまな過去の因縁と巨大な陰謀に巻き込まれていく。
溝端は以前、好きなマーベルのヒーローとしてキャプテン・アメリカの名をあげていた。そのヒーローを名乗ることに「ついに来たなという気持ちで、武者震いしました」と純粋に喜びながら、「なぜスティーブがサムに盾を継承させたのかが大きなテーマであり、サム自身がアイデンティティーと向き合う話でもあるので、アンソニーさんが演じるサムの姿を見ながら、新しいキャプテン・アメリカとして、また一から作っていく思いです」と意気込む。
キャプテン・アメリカのシンボルである盾には、スティーブ・ロジャースの思いだけでなく、アベンジャーズのリーダーとして彼がこれまで背負ってきた責任やプレッシャーが込められている。盾を受け取ったサムは、後継者としてその“重さ”を背負う準備ができておらず、スミソニアン博物館に盾を寄贈してしまったこともある。キャプテン・アメリカを名乗ることは、それ相応の覚悟と責任が必要なのだ。
溝端も同様に、声優としてキャプテン・アメリカを継承することには大きな責任が伴う。「サムの日本版声優を11年やってきたとはいえ、生身のキャラクターに声を当てることに、プレッシャーはありました。僕もいちファンであり、 自分がキャプテン・アメリカの吹き替えを務めたことで、作品の良さを損ねてはいけない。果たして、自分に務まるのだろうか。サムの比ではありませんが、そういった思いはあります」
そんな中、新キャプテン・アメリカの日本版声優が決まったタイミングで、アンソニー・マッキー本人に直接会うことができた。「かなり緊張した状態でご挨拶に行ったのですが、会った瞬間、すごく気さくに『会えて嬉しいよ』と言ってくれて、アンソニーさんから写真を撮ろうと提案してくださったんです。人の気持ちを察して、寄り添う優しさはサムと通ずる部分がありますよね。『11年間、あなたの声を担当させていただきました』と直接伝えると、すごく喜んでくださって。ジョークを言ってくれたりもしました」
今の時代に相応しいリーダー像

PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患う退役軍人のカウンセラーを務めていたサムは、スティーブと出会い、ファルコンとして戦いに身を投じ、アベンジャーズの一員として活躍した。初登場作品の『ウィンター・ソルジャー』から、サムは数多くの戦いを乗り越え、新たな友と出会い、戦友との別れを経験してきた。溝端は、サムの成長をどのように捉えているのだろうか。
「サム自身はアベンジャーズの一員として、トニー・スターク/アイアンマンの最期や、スティーブの引退も見届けています。いろいろな仲間との出会いや別れなど、百戦錬磨の経験を積んできたので、そういう意味では、(『ウィンター・ソルジャー』で)スティーブにランニングで抜かれていた頃とは全然違うと思います」
「変わったと思うのは、自分が先頭になって(みんなを)引っ張っていくところです。今までは周りの状況を見て支えるバランサー的な役割を担っていたかと思いますが、キャプテン・アメリカになってからは、背中で語るといいますか、先陣を切るようになった。もちろん、いろいろな立場の人たちの気持ちを察する優しさは、当時から変わっていません。優しすぎるがゆえに全部受け止めてしまう部分は、サムの良さであり、同時に脆さでもある。そういった部分も、変わらぬ魅力かなと思います」
『ブレイブ・ニュー・ワールド』で描かれる新キャプテン・アメリカのリーダー像に、溝端は「今の時代に相応しいのではないかと思います」と大きな期待を寄せた。「サムとホアキン・トレス(2代目ファルコン)との兄弟のような掛け合いもすごく面白いです。ヒーロー映画らしい戦闘シーンもありますが、優しい映画になっています。老若男女、心が救われるような作品になっているはずです」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』は2月14日(金)日米同時公開