『ファーストキス』松たか子着用の“ダサい”Tシャツ誕生秘話
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松たか子とアイドルグループ・SixTONESの松村北斗の共演による映画『ファーストキス 1ST KISS』(2月7日公開)のティーチインイベントが31日、東宝本社にて開催され、塚原あゆ子監督と山田兼司プロデューサーが登壇。音や、松演じる主人公が着用しているTシャツなど、ディテールの裏側を明かした。
【動画】ダサいTシャツ登場!『ファーストキス 1ST KISS』予告編
本作は、映画『花束みたいな恋をした』などの坂元裕二が脚本を務め、映画『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』の塚原監督がメガホンをとったラブストーリー。事故で夫を亡くした女性・硯カンナ(松たか子)が、夫・駈(松村北斗)と出会う15年前にタイムトラベルし、若き日の夫と再会し、彼の運命を変えるべく奔走する。
熱心な映画ファン91人が集まった本イベント。映画を見終えたばかりの観客とのティーチインということで塚原監督は「すごく緊張しています」と語っていたが、最初に「塚原監督の作品は音楽や劇伴と映像がマッチしている」という特徴を挙げた観客が、本作では人の話し声やホテルのBGMなど環境音をうまく作品に投影していることに触れる。
塚原監督は「この物語は、人が亡くなったとき何かものが抜け落ちたような瞬間に陥ることがあると思うのですが、それを埋める話だと思っていました」と作品のテーマに触れると「そのためあまり劇伴を多く使わないようにしようと思っていました。ただ物語の構成上、繰り返しのシーンが多くなるので、飽きさせることなく観てもらうために、環境音をうまく取り入れて作れたらいいなと思ったんです」と意図を明かす。
塚原監督の言葉に山田プロデューサーは「日本映画のなかでおそらく一番音にこだわった作品なんです」と続き、「日常の生活音のような些細な音がこの物語にはすごく重要だという監督の思いを感じたので、音響効果チームもどれだけ丁寧に作り上げられるのか、技術的にもかなり挑戦しました」と補足する。さらに山田プロデューサーは「(松村北斗演じる)駈が玄関から出ていくときに靴をトントンとする音なども、すごく丁寧に塚原監督はディレクションをしていたんです」と例に挙げていた。
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また本作で松たか子が演じるカンナが着用しているかき氷のイラストの入ったTシャツについての質問が飛ぶと、山田プロデューサーは「坂元さんの脚本のト書きに“ダサいTシャツ”と書いてあったんです。でもただダサければいいというものでもないので難しかった」と裏話を披露。塚原監督も「松さんが結構長く着てらっしゃるTシャツなので、本当にダサいと恋に落ちないんじゃないかという思いもあったんです」と追随する。
そんななか坂元を交えて脚本の打ち合わせをした際、坂元自身にTシャツのイメージをスケッチしてもらったという。山田プロデューサーは「坂元さんに書いてもらった絵を元に、デザインをしてもらおうということになったんです。そこで面白い人に頼もうということになり、大島依提亜さんという、A24などの作品のデザインをやられている方にお願いしたんです」と経緯を説明し、「エンドロールに大島依提亜さんの名前が出てくるので、ぜひ見てください」と語っていた。(磯部正和)