「相棒」でしかできない…稀に見るエピソードに衝撃「切なくてやるせない」【ネタバレあり】
連続ドラマ「相棒season23」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の第13話「レジリエンス」が、29日に放送された。未解決事件の被害者遺族を支援していたはずの元警察官が、突然自分が犯人だと自首する衝撃的なはじまりが、意外な展開で幕を閉じ、「なんだか切なくてやるせない……」「救われない感じの暗い話、相棒でしかこんな話出来ない」「今週は稀に見るレアな雰囲気の回だったね」とSNSではさまざまな意見が飛び交った。さらに、驚きの次週予告は「今回とのギャップが凄い。風邪を引くぞ」「どうしよう! 爆笑してしまった!!」と大盛り上がりだ。(以下、第13話の内容に触れています)
亀山薫(寺脇康文)の妻で、ジャーナリストの美和子(鈴木砂羽)から持ち込まれたのは、未解決事件の再捜査だった。杉下右京(水谷豊)と薫は、さっそく被害者の母親・和田彩子(赤間麻里子)のもとを訪れる。かたわらには、元警察官で被害者支援をしているという平井葉一(和泉元彌)と、活動を手伝っているミヨ(御子柴彩里)がいた。彩子の息子・為永祐希が公園で殺された5年前の事件の詳細を聞いていた右京と薫に、葉一が突然「犯人は私です」と告白する。
葉一は、趣味の女装をあざ笑われたことで祐希を殺したのだと自供した。病で先が長くない彩子が生きているうちに犯人を捕まえようと、偽りの自首をしたのだと彼女は訴える。右京は、葉一の部屋にたった1つだけあった漫画の「君を守る、君を傷つける奴は絶対に許さない」と主人公たちがお互いに誓約するという苛烈な内容が気になった。
葉一は、自分は祐希の前に3人殺している連続殺人犯だという。サラリーマンの男性と造園業者の見習い女性2人が被害者だった。全員、女装を笑われたことが動機だというが、右京は納得いかない。共犯の可能性も示唆する右京は、平井の供述について「とても手が込んでいます。しかし、矛盾があります」と断言する。
祐希の部屋を捜索した特命係は、「パパポリス」という漫画の生原稿を発見した。作者は「犬山犬彦」。8年前に賞をとったようだが、祐希のものではない。劇中で正義の活躍を見せるパパポリスは平井に似ていた。美和子の調査で、犬山の本名が「北原莉央」だと判明し、さらに祐希の小学校時代の同級生だとわかる。住所は児童養護施設。ボランティアで子どもたちの遊び相手をしていたという平井ともつながった。
莉央は平井に警察のことを取材し、漫画を描いたという。だが、前向きに生き始めた矢先、自殺未遂をし、意識不明になった。日常生活を送れるようになるまで3年かかったという。彼女が意識を取り戻した5年前から、平井は見舞いに行かなくなったようだ。莉央の家を訪ねた2人は、彼女がミヨだと知った。
20歳くらいで祐希に再会した莉央は、漫画を読んでみたいと言われて原稿を渡したのだという。支援ボランティアに志願したが、かつて小学校のときに「ああいう子とは付き合わないほうがいい」と彩子が言ったため、偽名を使っていたらしい。そして莉央も「私がやりました。私が主犯なんです。証拠もあります」と言い出した。
初恋の祐希と恋人同士となった莉央は、コンクールに入賞して幸せだったが、女2人と男にひどい目にあわされ、祐希はその場から逃げ出していた。意識不明から目覚めた彼女は、怒りと恨みの中で漫画を描いて平井に見せた。4人を調べた平井は、いずれも更生しており、人間には回復力「レジリエンス」があって罪悪感からも回復してしまうと知り、漫画の通りに4人への復讐を果たしたのだという。
だが、彩子と莉央、平井の3人での時間は、居心地がよかったと莉央は語る。平井は「レジリエンスとは驚くべきことです」と言い、彩子を愛してしまったと告白する。自首することで2人を守るしかなかったという平井を、右京は「言い訳です」と断罪。「1人の男の身勝手な正義と倫理が、2人の女性の人生を破壊したんです。そして、それはもう二度と、回復しませんよ」と静かな激高を見せた。
莉央は教唆に問われず釈放され、漫画を描き始めた。右京は彼女に、美味しい紅茶の入れ方を指南した際に約束したおススメの紅茶を渡す。特命係に届いた彼女の新しい漫画を読んだ右京と薫は、それを咀嚼するように静かに飲み物を飲んでいた。「せつなくて救われてるけど救われない感じの暗い話」「この雰囲気好き」「償うべき罪に向き合わずとも立ち直れてしまう現実、それを許せない気持ちリアルなつらさ」と余韻を味わう声があったが、次回予告が出た瞬間、SNSが大きく沸いた。
次週は、中園参事官(小野了)が誘拐・監禁される物語。「スゴイ重い話のエモいエンディングの後に、中園参事官誘拐って別方向から衝撃与えてくるな」「泣きそうになっちゃったのに捕縛されてる中園参事官で涙引っ込んだじゃんか…」とギャップに衝撃を受けた声が多く、「中園参事官回だ! なんかおもしろそうでよかった!!」「中園参事官の秘密…きになる!!」「てるお!」「いきなり!? これまでメイン回なかったのに!」と大騒ぎだ。確かに中園は、中学生(season11当時)の娘の問題で特命係を動かしたことはあるが、自身が事件に絡むことはほとんどない。どんな活躍を見せるのか、楽しみに待とう。
ちなみに右京は、1杯分の湯量は150ミリリットル程度、ティーバックはひと袋でティーカップ1杯分が基本、受け皿でふたをして適度に蒸らすと熱心に語っている。いつもはティーポットでいれる右京だが、ティーバックの使い方も熟知してるようだ。右京の、好きなものへの探求心ははかりしれない。(文・早川あゆみ)