河合優実、キネ旬主演女優賞受賞に「映画は熱い気持ちだけでは作れない」 黒ドレスで会場を魅了

俳優の河合優実が20日、都内で開催された「2024年第98回キネマ旬報ベスト・テン」の授賞式に登壇した。河合は『ナミビアの砂漠』『あんのこと』で主演女優賞を受賞し、黒のロングドレスで会場を魅了した。
『ナミビアの砂漠』は『あみこ』などの山中瑶子監督がメガホンをとり、第77回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞したドラマ。河合は、何に対しても情熱を持てず自分の居場所を求めてもがく21歳の主人公・カナを演じた。『あんのこと』は、『22年目の告白-私が殺人犯です-』や『室町無頼』などの入江悠監督が、世界的パンデミックが起きた2020年のある日の新聞記事に着想を得て撮り上げた人間ドラマ。同作では河合が、劣悪な家庭環境の中、薬物中毒から抜け出そうともがく主人公の杏を熱演した。
河合は両作について「自分にとって大切な、大きな勇気となっている作品です」と感慨深げに紹介し、「色の違う作品だったし、自分が一人の人を演じる理解の仕方、体を使っての表現の仕方も違っていました。その2本の作品で、キネマ旬報の歴史に名前を残せることを本当にうれしく思います」と受賞を喜ぶ。
『あんのこと』に関しては「実在の人物の人生をお借りして作った作品。人の人生に触れるという時に、全員ができる限りの力で真剣に、どうにか未来に繋がっていくように作れたと思っています」と撮影を回顧。『ナミビアの砂漠』については映画製作にも関わったことを嬉しそうに回顧し、撮影を「ワクワクするキラキラした時間でした」と振り返った。
また、河合は映画づくりについて「熱い気持ちだけでは作れないと思う」と持論を述べ、「それでも作り手が諦めずにしぶとく高みを目指していたら、技術だけじゃない強い力が宿るんだなということを今回の受賞作ですごく確信させてもらえたと思います」と思いを巡らせる。「混沌として、世界の動きがどんどん見えなくなる、そんな時代ですけど、勇気を胸に、これからも諦めずに光を探していけたらなと思っています」と力を込めた。(取材・文:名鹿祥史)