Amazonが『007』のクリエイティブコントロール獲得 自由に新作映画&スピンオフシリーズ制作可能に

Amazon MGM スタジオが現地時間20日、長年映画『007』シリーズのプロデューサーを務めてきたマイケル・G・ウィルソンとバーバラ・ブロッコリと共にジェームズ・ボンドの知的財産権についての合弁企業を設立したと発表した。取引が完了し次第、『007』シリーズのクリエイティブコントロールは二人から Amazon MGM スタジオの手に渡り、Amazonは自由に新作映画やスピンオフシリーズを制作できるようになる。
イアン・フレミングのスパイ小説を基にした映画『007』シリーズは、プロデューサーのアルバート・R・ブロッコリとハリー・サルツマンによって生み出され、その後、ブロッコリの子供たちであるマイケルとバーバラが長年にわたってクリエイティブコントロールを握ってきた。マイケルとバーバラは同フランチャイズの共同所有者ではあり続けるものの、今回の Amazon MGM スタジオへの権利移行により、『007』シリーズの製作からは退く。現在83歳のマイケルはプロデューサーを引退し、芸術と慈善のプロジェクトに専念するという。
バーバラは「わたしは人生を、マイケルと共に父から受け継いだ素晴らしいレガシーを維持し、発展させることにささげてきました。007を演じた途方もなく才能のある4人の俳優たち、そしてこの業界の何千という素晴らしいアーティストたちと緊密に仕事ができたことはわたしの誇りです。『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で完結を迎え、マイケルが映画業界から引退することもあり、わたしも他の企画に専念する時が来たと感じています」とコメントを発表した。
Amazonは2022年に映画・テレビ会社MGMを85億ドル(約1兆2,750億円)で買収し、『007』シリーズを含む映画4,000本、テレビ番組1万7,000本の権利を獲得。過去作の配信権はあるものの、マイケルとバーバラが権限を持っている『007』シリーズの新作の企画開発を自由に行うことはできなかった。Deadlineは関係者の話として、『007』シリーズのクリエイティブコントロールと引き換えに、マイケルとバーバラには10億ドル(約1,500億円)相当が支払われると報じている。(1ドル150円計算)
今回の決定で、ダニエル・クレイグが『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)で6代目ジェームズ・ボンドを引退して以降、大して動きのなかった『007』新作についても急ピッチで進んでいくことになりそうだ。Amazonの創業者ジェフ・ベゾスは早速Xで「次のボンドは誰がいい?」とファンに尋ねている。
バーバラらの厳しい管理がなくなることで、『007』シリーズがディズニーのMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)や『スター・ウォーズ』シリーズのように爆発的な拡大に向かう可能性も、シリーズへの興味は示しつつも完全なクリエイティブコントロールを求めたためにこれまでは実現しなかった有名監督たちによる『007』映画ができる可能性もある。(編集部・市川遥)