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「御上先生」松坂桃李、教壇に立つと「胃が口から出そうになる」教師役ならではの経験と苦労

官僚教師を演じてきた松坂桃李
官僚教師を演じてきた松坂桃李 - (C)TBS

 松坂桃李が主演を務める日曜劇場「御上先生」(TBS系・毎週日曜よる9時~)が、クライマックスに突入した。文科省のエリート官僚が高校教師となり、令和の生徒たちと共に日本の教育にはびこる権力に立ち向かう物語で、次々に明かされていく謎の数々と大きな問題提起に、SNS上では毎週議論が白熱している。佳境を迎えた本作に、俳優陣はどんな思いで挑み、何を受け取っているのだろうか。主人公・御上孝役の松坂が真摯に語った。(以下、第8話までの内容を含みます)

【画像】戸倉樹(高橋恭平)が苦悩を明かす…「御上先生」第9話場面写真

自分自身が授業をするような感覚

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 松坂演じる御上孝は、クールで官僚らしさ満載でありながら、根底に「愛」を持ち、教育の現状に疑問を抱いて、変えたいと行動を起こした。演じる際に意識したことは、「多面的であること」だという。「クールで冷徹という人物像ではありますが、クールな人間でも笑ったりするし、恐怖をいだくことも、不安な瞬間や心踊る瞬間があったりすると思うんです。それは、生徒に対しての一面や、古代理事長(北村一輝)、是枝先生(吉岡里帆)、自分の母親、それぞれと出会うときに、その場面ごとに違います。クール一辺倒では絶対にいけないと思って、僕はこの現場に参加しました」と明かす。「だから、僕一人で御上を作りあげたというより、それぞれの方とのお芝居で御上という人が形成されていった感じです」

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 「クールな一面だけで演じれば、そこまでカロリーは使わないと思います。でも、ドラマだからこそ、ちゃんと御上なりの深みを表現したいと思いました」としたうえで、御上のキャラクターを考察する。「御上は教育を変えたいという思いが強くありますが、そこへ思いが至ったのは兄の事件があったから。兄に執着する理由、それは兄への尊敬と憧れがあったから。そうやって深掘りしていくと、御上が見えてくる。幼少期の御上は可愛らしくて、少年らしい心や、尊敬のまなざしを持っていましたよね」

 物語が後半を迎えてだいぶほころんではきたが、当初の御上の表情は松坂史上でもトップクラスといえるほど無表情だった。その変遷は、兄や母の問題ごと彼が抱えこんだ信念を表しているようで、その芝居のバランス感覚の上手さに舌を巻いたが、計算づくではないようだ。「表情へのこだわりは意外とないです。強いて言えば、教室での目線です。生徒一人一人に向かって、自分自身が授業をするような感覚でいるというのは意識しました」とし、「それは詩森(ろば)さんの脚本を読んで出てきたものであり、生徒役のみなさんのお芝居に刺激をもらってのことだったと思います」

一切無駄がない生徒たち「こっちも負けまいという気持ちに」

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 御上が担任を務める隣徳学院3年2組の生徒たちは、オーディションで選ばれた俊英たち。松坂は彼らを絶賛している。「物語が進んで御上と生徒たちの距離が縮まると同時に、キャスト同士の結束が強くなっている感じがします。生徒のみんなは中だるみすることなく集中力を持続させていて、本当に尊敬しています」と率直に語る。「学園ドラマだと同年代がたくさんいるわけで、“とにかく目立て”という考え方もあると思います。『とりあえず前に出ろ』みたいな(笑)。でも彼らは“この作品を成立させること”だけを考えてそこに居る。台詞ではなく、本当にその役の生徒本人の言葉として出てきているんです」

 それには、クランクインの段階で最終話までの台本が完成していたことも大きく作用しているという。「みなさん、(役がどうなっていくのかを知っているから)逆算して、ちゃんと自分の中でそれぞれの箇所で点を打って、線につながるようにお芝居をされています。一切無駄がない。それを今のキャリアでやれていることが、本当にすごいことだと思っています」と明かす。「毎回、お芝居をするたびに心を動かされている感じがします。こちらも応えたいという気持ちになります」と自身への影響も大きいそうだ。

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 教師役ならではの大変さもある。「教檀に立つと、ものすごい視線が一気に集中するんです。緊張感で胃が口から出そうになるというか(笑)、教師役でしか得られないものだと思います」と明かす。特に、御上の中でも大きな転換点となった、生徒の前で兄のことを語る第6話の撮影は、その内容の重さもあり大変だったようだ。「独白のところは、生徒それぞれの表情を撮るために、生徒たちの席のブロックごとにカメラを向けたんです。監督が鮮度を保ちたいというご希望だったので、その数だけ同じお芝居をしました。あれは久しぶりに疲れました(笑)」

父親になって芽生えた日本教育への関心

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 そんな生徒たちを見守るのは、今作のけん引役である飯田和孝プロデューサー。「お忙しいだろうに、ほぼ毎日現場にいらっしゃって、シーンの段取り(撮影の動きや台詞の確認)から見ていてくださいます。それが現場の空気になって、いい緊張感に包まれています。そこがしっかりしているからこそ、僕自身も含め、みんなの背筋がピンとなる作品になっていると思います」

 「御上先生」は、詩森や飯田P、監督たちが伝えたいことが詰まっているドラマであり、官僚や政治や権力構造や教育について深く斬りこんだ物語だ。それを経験したことで、松坂の中に新しい思いが芽生えているという。「僕自身が父親になったこともあり、10年後、20年後の日本の教育がどうなっているのか、すごく気になります。今作のように、生徒自身が主体性を持って考え、発言に責任をもって物事に向き合っていく教育環境になれば、また違った世の中になっていくんじゃないかと思っています」

 第1話から張られていた伏線は、第9話でも回収されていく。「謎のFAXを送ってきていた倭建命(ヤマトタケル)が誰なのかも、第9話でわかります。最終的にこの物語がどこに向かって、どういう着地点を迎えるのか、ぜひ見届けてほしいと思います。なぜ御上先生のクラスの生徒が29人なのかも、考えていただけたらなと思っております」と松坂はアピールしている。(取材・文:早川あゆみ)

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