監督への質疑応答の前に、司会者より「映画の性質上、内容の核心を突くよう
な質問 を避けて欲しい」という旨が伝えられた本会見。それだけこの作品がミステリア
スな 仕掛けに満ちた作品であることを伺わせる。
ゼメキス監督は、本作がヒッチコックやウィリアム・キャッスルの恐怖映画へ
のオマー ジュであることを述べた上で、こう語った。
「近年の恐怖映画の傾向は、悲しいことにティーンエイジャー向けに作られた低
予算 のスラッシャームービー(スプラッター描写の多い連続殺人もの)が多い。僕は今
の若 い観客に古典的なホラーの良さを見せたいと思っている。血みどろの映像によっ
て起きる恐怖ではなく、ヒッチコックを頂点とする、人間の内面からわき上がる
恐怖。この作品はそれを目指したんだ」
また、恐怖を描くために本作で使ったという演出技法についても触れた。
「映画の進行とともに、舞台となる家の壁の色をわずかに変えたり、カメラの目
線も 少しずつ下げるなど、工夫をしている。こうすることで観客は無意識下の恐怖を
呼び起 こされるはずだ」
二大スターとの撮影苦労話については、「とにかく水の中の撮影が大変だっ
た」と語る。
「ハリソンが湖に飛び込むシーンがあるんだけど、そこは水がものすごく冷たか
った。 そこでハリソンに“スタントを用意しようか?”と訊ねると“自分でやる、その
かわ り一回しかやらない”と言うんだ(笑)。そこでカメラを何台も用意して、ミスシ
ョット がないようにしたよ」
「ミシェルは撮影の数週間前になって“実はわたし、水がコワイの”と言い出し
た(笑)。 彼女が水に入れないと映画が成り立たないので、急いでスキューバの講習を受け
ても らった。その甲斐あって、潜水具をつけてプールの底に座れる程度には慣れても
らっ たよ」
『ホワット・ライズ・ビニース』は12月中旬より日本劇場ほか全国東宝洋画系に
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