ギロチンと未亡人の不思議な関係
ルコントって官能を描く監督だったでしょ? と思いながら重苦しいラヴロマンスを観るにつれ、これは究極の愛のかたちかもしれないと思えてきた。一人の男の死刑が決まり、人の心のすさみきった最果ての島で思わぬ事態が巻き起こる。執行までの罪人の身を任された軍隊長は妻を溺愛していて、彼女が罪人に注ぐイノセントな愛によって運命はかく乱されていく。誰がなぜ未亡人になってしまうのか?
フランス語の未亡人という単語にはギロチンという意味もあるそうだが、引き裂かれる過酷な運命を、一瞬にして命を断つ断頭台と掛け合わせた題名の謎が解けたとき、何を信じて生きていけばいいのか路頭に迷ってしまった。やっぱり愛を貫くには不毛な時代なのだろう。(渡辺小夜)
これほどまでに強い感情を描いた作品を撮ったことはなかった
同じことは繰り返したくないので、常にスタイルは変えていきたいと考えている。今回は、なにより自分のシナリオではないことが大きい。自分でシナリオを書いた場合、よりパーソナルな内容になりがちだが、地方の村でのロケや豪華な帆船などのシチュエーションがとても新鮮に感じられた。他人のシナリオだと客観的に見ることができ、迷うことがない。これは完成後に日本のジャーナリストから言われて気がついたことだが、これまで数多く愛をテーマにした作品を撮ってきたが、今回初めて主役の男女二人の出会いを描いていない。脚本を読んだ最初の印象は、なによりも強く激しくドラマティックで、心揺さぶられる素晴しい愛の物語だった。よくある女一人男二人の物語ではあるが、ヒロインが男二人の間で揺れ動くというような単純なものではない。これほどまでに変化に富んだ構成の脚本で、これほど内面の強い感情を描いた作品を撮ったことはなかった。ただ、重い話なので息苦しくならないよう、強い感情は目線や感情によって表現するようにした。そのため脚本をかなりカットし、映像の裏にあるものを感じとってもらえるようにしたかったんだ。
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妻ポーリーヌ(ジュリエット・ビノシュ)を深く愛し抜き、身の破滅すらいとわない夫ジャン(ダニエル・オートゥイユ)。自らの罪を認め、誠意ある余生を全うしようとする囚人ニール(エミール・クストリッツァ)。運命を静かに受け入れる男たちに対し、ポーリーヌは違った。自分にふりかかる悲劇に立ち向かい、他人の運命すら自分の愛で変えられると信じる。しかしそんな信念を貫こうとするヒロインに、運命はより過酷に襲いかかる…。フランスの激動の時代、カナダにある仏領の島で実際に起こった死刑囚と執行人の出来事を『リディキュール』のプロデューサー
がパトリス・ルコントのメガホンで映像化した。純粋ゆえに痛みが増す愛の物語が、私たちに突きつけるものは深い。
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仏領サン・ピエール島。囚人ニールは、船で死刑台が運ばれてくるまで軍隊長ジャンとその妻ポーリーヌに看守される。罪を悔い、静かに死を待つニールを、理解しようとするポーリーヌ。やがて3人の運命が動き始める。
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