森田まほ
映画が好き!現場で働きたい!その思いがこうじて単身アメリカ、ハリウッドへ渡り、現場でインターンとして日夜現場を飛び回る日々であったが、ある日アメリカ人の青年と結婚。その後予定外の妊娠をするが、無事出産。現在はグリーンカードを取得すべく待機中。 |
私は、ビリヤードとか、ゴルフだとか、ああいうちっこい球を使った球技が嫌いだった。いや、苦手だから嫌いなのかも。
アメリカっちゅう国は、プールバーなんていうしゃれたもんがすごくいっぱいあって、デートといえば映画を見るか家でまったりプレステするかぐらいの退屈な生活をしているロスのアンダー21達はよくこのプールバーへとこっそりでかける。
本当は、バーだから21以下は入れないのだけど、知り合いの兄ちゃんがバイトしてたりとか、ニセの身分証を持ってたりだとかで結構入れちゃうのよね。
私も、ずいぶん旦那とのデートにプールバーに誘われたけど、そのたんびにノオノオ断っていたわけよ。
だって、全然出来ないかっちょ悪いとこなんて見せたくないじゃん。だから、こっそり練習して超うまくなってから驚かせてやろうとと思っていたのさ。
でも。一緒にやってくれる人がいなーい! ううむ。どおしよう。と思い悩んでいた矢先に私の友達がロスに遊びに来てくれた。しかも、そいつは大のビリヤード好き。ふふ。しめたしめた。
ヤツにおせーてもらおーっと。と、張り切って夜中ホテルへ遊びに行ってやつと、私とおんなじ初心者であるもう一人の友達と三人でビリヤード教室をしていたのでありました。
でも、でも、難しいいいい。なんなんやビリヤード!!むずすぎだぜベイべー。
あの球をコンッてやるのすら難しいうえに、それをさらに他のたまに当てて、穴に入れるだっとお?? 無理です。
だんだんやる気を失いだした、私たちをおもろげにながめるおっさん達がいた。何やらこーい、おっちゃん達。おうおう、なにみてやがんだい。と、早速いちゃもんをつけてやると、
「どーだい、俺らと勝負しないかい」だとよ。
わっはっは。そんなむちゃな話…おもろそうじゃないの?やろうやろう。イランからきたという4人組と、こうして私たちのアツイバトルが始まった! はずなんだけれど、みんなあまりにへたっぴ。ハスラーどころじゃねえ。最悪よ。イランおやじたちも、ひどいもんだ。
とりあえず、コツってやりゃいいと思っているのさ。ようは、やってみたいだけだったのね。
お互い、下手だからゲームも進まねえ進まねえ。お互いにスカッすかっと空振り連発。しかも、あたったところで穴にゃあ入らん。
始めは、あまりコミュニケーションもなくお互い黙々と下手なビリヤードをしていたのだけれどだんだんだんだん、笑顔が出てきて、下手な英語も出てきた。
とにかくうちらすべてが下手なんだよね。でもいいじゃん。英語というより、「イエー!」とか、「オーウ」とか「ゴー」とかばっかなのだけれど、それだけで楽しくって、私たちは夜中の三時までやつらとビリヤードをし続けた。しかも最後は、みんなで肩を組んで写真までとるほどマブダチになれた。
なんか始めは、イランってだけでちょっと怪しいとか、偽造テレカ売ってそうだとか日本人らしい偏見っていうかそういうものを感じてしまっていたのんだよね正直。
でも、ビリヤードしてれば、ホントに楽しくて、おばかで、ビリヤードもめっちゃ下手で、英語もめっちゃ下手なうちらと何も変わらなかったのさ。
ロスのタクシーの運転手さんには、イラン人の人とかが多い。私は運転手さんがミドルイースト系だと、げげっと思ってなるべく外ばかり見ていた。
でも、その日以来私はいろんな話をするようになった。故郷のこととか、家族のこととか。中には、変なやつもいるけど大抵は、家族のために一生懸命働いている人が多いのよね。今まで、何でいちいち怪しいって思ってたんだろう。考えると根拠もないんだよね。顔が、なんか怪しいってだけ。なんて失礼なやつだ私は。全く反省した夜だったのでした。
次週につづく
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