『キングダム・オブ・ヘブン』特集 2005年10月15日 今、ハリウッドで若手人気ナンバーワンのオーランド・ブルームが、超大作初主演作『キングダム・オブ・ヘブン』の来日記者会見を開いた。作品の完成が間に合わず、会見前に完成披露試写が行われなかったが、巨匠リドリー・スコット監督とヒロインのエヴァ・グリーン、そしてオーランド・ブルームが登場するとあって多くの取材陣が駆けつけた。会見中のオーランドは、目の前にあったコースターをいじったり、監督と仲良く内緒話をしたりと、リラックスしていた様子。さらに褒められると下をむいてテレ笑いを浮かべるなど、キュートな一面をのぞかせ、会場の女性陣のハートをわしづかみにしていた。 ■日本のファンからピュアなエネルギーを受けた オーランド・ブルーム(以下O):今回は2度目の来日なんだ。空港で多くのファンに出迎えられたときは、すごくピュアなエネルギーを感じてうれしかったよ。正直あれだけの数の女の子たちに騒がれたのは久しぶりだったな(笑)。 リドリー・スコット監督(以下R):実は3週間前に来日したときは仮の作品を持ってきたんだが、今回は完成した作品をお見せすることができるので興奮している。このプロジェクトはとても時間がかかったけど、その間オーランドやエヴァと楽しく仕事をすることができた。 O:監督と一緒に仕事をするのは2作品目なんだ。前回はヘリコプターから落ちる役(『ブラックホーク・ダウン』)だったけど、今回はもう少し長く出演できるよ(笑)。監督は褒められるのが苦手だからこんなことを言ったらいやな顔をするかもしれないけど、役者の才能を引き出すことができる素晴らしい監督だと思う。週6日6か月間も行われた撮影は、スペインから始まってモロッコに移動したんだ。今までで1番ハードな撮影だったよ。この作品は図らずもヒーローになった青年を主人公に、真の愛や激しい戦いが描かれた壮大な叙事詩なんだ。ぜひ日本のみなさんにも楽しんでもらいたいな。 エヴァ・グリーン(以下E):こんにちは、私は初来日なの。今回は1日しか滞在できないのが残念だわ。撮影をとおして、巨匠や素晴らしい俳優、そして美しい自然の中で仕事ができたことは私の誇りだわ。ただ「映画を楽しんで!」と言いたいわ。 ■クロサワ映画をリスペクト Q:劇中4つの誓いが出てきますが、みなさんにとっての誓いとはなんでしょうか。 R:私の答えはいつも長いから覚悟してくれ(笑)。私は小さい頃から映画大好きな少年だったんだが、あるとき"クロサワ映画"に出会ったんだ。そして武士の生き方に感銘を受けたよ。武士道は騎士道に通じると思うんだ。劇中に「常に正しい行動をする」というセリフがあるが、そのセリフは映画のテーマであり、万人に通じる教訓だと思う。 O:僕が演じたバリアンのモットーは「男として生まれてきたからには、世の中を良くしなくちゃ男じゃない」ということなんだ。このことは現代の男性にも学んでもらいたいことだよね。それと同時にこの映画には「恐れず敵に立ち向かうこと」「真実を語ること」「弱き者を助けること」といった騎士の誓いが描かれていて、どれもとても大切なことだと思うよ。 E:私は自分に忠実であることが大切だと思うわ。私が演じたシビラという役はとてもパワフルな女性で、あらゆる困難に打ち勝つ強さを持っているの。王女である彼女は自己発見の旅を通し、1人の女として自分の運命をつかみ取るのよ。私も彼女のように自分のアイデンティティを見つけたいと思っているわ。 ■歴史映画に多く出演する訳 Q:オーランドさんが多くの歴史作品に出演する理由を教えてください。 O:イギリスの演劇学校に通っていたときに、古典の名作を学んだことが今の作品選びに影響しているのかもね。考えてみると役者を始めて間もないのに、『トロイ』では弱気な男、今回は勇敢な男という正反対のタイプを演じることができてとても光栄だよ。 Q:本作に対して回教徒から批判的なメッセージはありましたか? R:トリッキーな質問だ。最近よく聞かれるが、短い答えを言ってしまえば「ノー」だね。私はこの5年間で『グラディエーター』、『ブラックホーク・ダウン』を含め3本の映画をモロッコで撮影している。その結果王様から勲章をもらっているので、私はモロッコの騎士でもある。だからモロッコの人々からの信頼は厚いと思うし、私自身大好きな場所だよ。今回の撮影では2,000人近くのスタッフと一緒に仕事をしたが、そのうちの1000人は回教徒の人々で、毎朝現場で出迎えてくれたものだよ。また回教徒である偉大な俳優が3人出演しているんだが、彼らがこの作品を観てハッピーだと言ってくれたから、私もうれしいよ。ほかにも脅されたことはあるかという質問を受けることがよくあるが、そんなことは全くなかった。むしろヨーロッパのタブロイド誌がよっぽど危険な存在だと思うね。 ■エヴァに恋する役づくりは簡単 Q:お互いに共演した印象を教えてください。 E:オーランド・ブルームね。彼はとてもセクシーでホット、そしてチャーミングだってことはみんな知っているわよね(笑)。でも彼って地に足のついた、普通の人でもあるのよ。そして役者としても素晴らしい才能を持っていると思うわ。彼の役は今までとは違い、泥だらけになって演技しているのよ。あの姿を観たら観客は彼を誇りに思うんじゃないかしら。 O:ありがとうエヴァ。エヴァの素晴らしさは言葉にし尽くせないよ。リドリー・スコット監督作品に、ヒロインとして出演するのはとても大変なことなんだ。しかもまだ3本の映画にしか出演していないのに、みごとに演じきったエヴァはすごい! スクリーンに映る彼女は本当に美しかったから、役作りの上で彼女に恋をするのは簡単なことだったよ(笑)。あと、彼女はフランス人だから、フランスなまりが出てしまうことを心配していたけど、まったく何の問題もなかったね。 E:実はボイス・コーチがいたのよ(笑)。 ■キングとは? Q:キングとはどうあるべきだと考えていますか? O:そうだな……尊厳、真実、やさしさ、そして民のために賢い選択をするという能力が求められると思う。僕が演じたバリアンは、長い旅を通して1番大切なものは人の命だと知るんだ。だから王様もそのことを認識するべきだと思うよ。 E:世の中のリーダーたちが、この映画のサラディンやバリアンのように賢く人の命を大切にして、ぎりぎりまで戦争を起こさないようにする人ならいいわね。つまり信仰心と誠実さを持つべきじゃないかしら。 R:私の内閣(オーランドとエヴァ)がすべてを語ってくれたので、何も付け加えることはないよ(笑)。デヴィッド・シューリス演じるホスピタラーという最も汚れのない善人が登場するんだが、彼が「宗教は単なる言葉だ」と言うセリフがある。その意味は、世の中には多くの宗教が存在し、中には悪用されているものもあるが、大切なことは善は頭と心の中にあるということ。そして最終的には「日々正しい行いをすること」に尽きる。 2度目の来日のオーランド・ブルーム エヴァ・グリーンは初来日 クロサワ映画好きのリドリー・スコット監督 鍛冶屋から騎士になるバリアンを演じる ファンの皆さん空港での歓迎ありがとう 最後は仲良くスリー・ショット オーランドとエヴァが劇中着用した衣装 ADVERTISEMENT